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【書籍紹介】『いま,ともに考える社会学』山田真茂留・有田伸・中村英代 編

.pict_shadow { filter: drop-shadow(5px 5px 5px #aaa);}2025年6月に刊行された、山田真茂留・有田伸・中村英代 編『いま,ともに考える社会学』(有斐閣)をご献本いただきました。本書は、「学問をとおして社会とつながろう」というコンセプトのもとに展開される「y-knot」シリーズの一冊で、社会学を“鑑賞”するのではなく、実際に概念や...

『日本最後のシャーマンたち』

  ベルギー生まれの著者はパリで学び、フランス国籍をもつ、日本在住約50年の日本学者である。著者は、困ったときに日本の友人に相談すると決まって神様と交信できる人のところに行くよう勧められた。異文化で育った研究者の目からみれば、日本人と目に見えない存在の近しさは好奇心をくすぐり、研究対象ともなる。 ここではシャーマンを広い意味でとらえ、霊媒師だけでなく超感覚や超知覚能力のある人を含めている。著...

『近代日本の仏教と福祉 公共性と社会倫理の視点から』

  近年、宗教が「公共性」という観点から論じられることが多い。宗教の社会的な有用性を「公共性」と名づけ、アピールしているようにも見受けられる。宗教の「公共性」を体現した存在として、「臨床宗教師」という心のケアに携わる超宗教の宗教者がいる。臨床宗教師には、営利活動や布教を禁じる倫理綱領がある。このため、被災地の避難所など「政教分離の原則」を守らなければならない「公共空間」での活動が認められやす...

『宗教者は病院で何ができるのか 非信者へのケアの諸相』

  東日本大震災では宗教者による支援が注目され、臨床宗教師など臨床の場で活躍する宗教者が続々と誕生した。2019~2020年に行われた本書の調査によると、少なくとも国内80の医療施設で約160名の宗教者が働いている。キリスト教と仏教の宗教者がともに約70名だが、新宗教などの宗教者も2桁に上る。宗教者は欧米では病者のケアに欠かせないが、そのような認識は日本ではまだ薄い。「無宗教」を自認する日本...

『共に生きるスピリチュアルケア 医療・看護から宗教まで』

  死を前にした患者や親族を亡くした人に行われることが多い「スピリチュアルケア」は、1960年代に英国のホスピス医シシリー・ソンダースによって提唱されました。キリスト教の聖職者が行うケアから派生しましたが、他の信仰をもつ人や無宗教の人にも欠かせないケアとして、急速に世界に広まりました。言語による表現が難しいスピリチュアルケアには、まだ確固たる定義がありません。編著者の一人である大村哲夫・東北...

『ミュージック・サナトロジー やわらかなスピリチュアルケア』

  ミュージック・サナトロジーとは、1970年代半ばにアメリカの高齢者施設で働いていたシュローダー・シーカーが自身の看取りの経験から創設した運動で、日本には2003年に「音楽による看取り」としてもたらされた。音楽を死に逝く人のためのケア手法として用いたもので、治癒を目的とするミュージック・セラピィとは異なる。終末期の人のベッドの傍らでハープと歌声を響かせる「ハープ訪問」とも称されるが、専門用...

『極上の別れの条件』

 ほとんどの患者さんは死ぬときは苦しんで死にたくないという。それも大切だけれど、ボクはそれ以外に家族がどんな思いで見送ることができるかだと思っているんだ。患者さんの死がどのようなものかによって、遺族はその事実と一生付き合っていくことになる。(ハワイの緩和ケア医の言葉)*   *   * 人が世を去るとき、大切な人を送らなければならないとき、どうすればよいか。 死には近寄らず、関わらないという...

『東日本大震災 3・11生と死のはざまで』金田諦應(著)、『東日本大震災 陸前高田 五百羅漢の記録』佐藤文子ほか(監修)

東日本大震災から10年。原発事故で増え続ける汚染水、2037年まで続く復興特別所得税の使途など、問題は残っている。だが、メディアは涙を誘うエピソードが好きだ。海などを背景に、津波に奪われた家族への思いを被災者に語らせる。キャスターは「忘れてはいけません」というが、あのときに被災者を押し戻す演出は、もう終わりにできないのか。神道の言葉「中今(なかいま)」のように、彼らには「いま」の瞬間を大切に...

『臨床宗教師』

2020年 1月 2200円 +税  「臨床宗教師」は、被災地や医療機関、福祉施設などの公共空間で心のケアを提供する宗教者である。布教や伝道を目的とするのではなく、相手の価値観を尊重しながら、宗教者としての経験を活かして、苦悩や悲嘆を抱える人に寄り添う。 仏教、キリスト教、神道など、さまざまな信仰を持つ宗教者が参画している。 2011年の東日本大震災を機に東北大学で養成がはじまり、龍谷大学、高...

『黄金期イスラームの徒然草』『現代イスラームの徒然草』

吉田兼好の『徒然草』は、日本人の多くが、中学や高校の国語の授業でいやでも読まされる古典随筆のひとつだろう。授業を通して興味を持ち、全体を通読する人、暗唱できる人もすくなくない(評者もそのひとりだ)。それに比較されるような位置づけ・味わいを持った随筆作品が、イスラーム世界にたくさんあるのは当然想像されることだ。博覧強記の学者を輩出し、ギリシア・ローマの知を(ヨーロッパの混乱期に)いちど引き継い...

『アルコホーリクス・アノニマスの歴史――酒を手ばなした人びとをむすぶ』

葛西賢太研究員が翻訳した書籍について、アルコホーリックス・アノニマス(AA)の活動に取り組んでこられた、ひいらぎさんが、書評をお寄せくださいました。◇ ◇ ◇ ■客間だけ見て語るのではなく 何かの問題を抱えた当事者が集まって語り合うことでお互いに精神的なサポートをする集団を「自助グループ」あるいはセルフヘルプグループと呼ぶ人たちがいる。国内では1980年代から自助グループやセルフヘルプに対する...

フリードリヒ・ハイラー著『祈り』

司会 今からちょうど100年前にドイツで刊行された古典的名著『祈りdas Gebet』が、ついに日本語で読めるようになりました。 国書刊行会から3月にでた邦訳は600頁弱の大部の本なので、全訳と思いましたら、抄訳です。数多の文献からの引用を示すための膨大な出典註記、および序論(序文)の先行研究分析にあたる第二節、以外は訳されているとのこと。それでも歯ごたえのある量です。 拝読して、この本が多くの...

『霊魂を探して』

2018年2月 1600円+税 東日本大震災では幽霊を見たという話がメディアでよく取り上げられた。ここに注目した著者が、日本人の霊魂観を追って北海道から沖縄まで取材し、さらに僧侶と宗教団体に対するアンケートに考察を加えたルポである。著者は、過疎と高齢化によって地方の仏教寺院が消滅しつつある現状を報告した『寺院消滅』(2015年刊)を著した元日経BP記者で浄土宗の僧侶である。まず、東京・大手...

『アメリカ創価学会<SGI-USA>の55年』 秋庭裕<br>『アメリカ創価学会における異体同心』

2017年11月 1800円+税 2018年1月 1600円+税  創価学会は、827万世帯の信者をもつ一大新宗教である。その国際組織である創価学会インタナショナル(SGI)は、世界192カ国・地域に1200万人以上の会員数を誇る。日本の宗教団体で、これほど海外で受容された団体はない。アメリカ創価学会(SGI-USA)には2010年の時点で11万人超のメンバーがいる...

映画『希望のかなた』2

 フィンランドにたどりついたシリア難民の若者が、生き別れになった妹を探す、その過程を人々が支える話。支える人々はリベラルな民主運動家などではなく、フィンランドの不景気に苦しんでいる、普通の人々。具体的には、ひどい状態のレストランのオーナーとなった人物と、給料を何ヶ月ももらっていない不満だらけの従業員たちである。主人公を助けるために、バラバラだった彼らが家族のようになっていく。日本人ならきっと...

映画『希望のかなた』

シリア難民の兄妹と、それを支える人々の物語。12月2日より全国で公開開始。フィンランドの港町。船で運ばれてきた石炭の中から真っ黒な青年・カーリドが現れる。家族、婚約者、家を失った彼は故郷のシリアを逃れ、フィンランドに辿りつく。誰もいなくなった後、無言で船から出る彼の表情からは、何も読み取れない。嬉しいのだろうか、それとも緊張しているのだろうか。ちょうど同じ頃、一組のフィンランド人老夫婦に別れ...

映画『ローマ法王になる日まで』

 今回は書評ではなく、書評のような形をとって、間もなく公開される映画を紹介する。 ローマ・カトリック教会の現法王(カトリック教会では正式には「教皇」とお呼びするそうだ)フランチェスコの、青年時代から法王就任までを描いた作品が、今年の6月3日、東京での上映を皮切りに、全国でロードショーされる。 現法王がアルゼンチンの貧しい暮らしを経て、一度は化学の研究を志し、その後イエズス会士となったというこ...

『死者は生きている 「見えざるもの」と私たちの幸福』

2016年 6月 1600円 +税 ■滋味あふれる自伝的法話録 宗教学者・作家として多数の作品を刊行している町田宗鳳。しかしこれまで避けてきた重要なテーマは、「「見えざるもの」がこの世の人間に強い影響を及ぼしている事実」だという(p.9)。明快で言い訳がましいところがない語り口の町田が、冒頭でめずらしく「近代的学問の規範から外れる」、「学者としての見識を疑われるかも」、「比較宗教学者としての...

『生と死を巡って 未来を祀る ふくしまを祀る』

2016年 3月 1852円 +税  2015年8月、福島で「ふくしま 未来の祀り」が行なわれた。発起人の詩人・和合亮一は、東日本大震災で亡くなった死者たちに思いを馳せつつ未来を見つめるという強い意志を、「祀り」という言葉に込めた。曰く「祀りというのは、日々の暮らしの中で感じられないことをみんなが感じて、笑顔になって帰っていく場所ではないでしょうか」(「おわりに」p.133)。和合はまた、手...

『「やさしさ」という技術 賢い利己主義者になるための7講』

2015年 12月 1500円 +税 ■やさしさは資質・性格ではなく技術である  著者のステファン・アインホルンは、スウェーデンのカロリンスカ医科大学のがん専門医。原著の刊行は2005年で、スウェーデン国内では30万部のベストセラーとなった。その後、18の言語に翻訳され世界中で読まれており、本書はまさにグローバルに評判となっている作品だ。扱っているテーマが「やさしさ」という点も重要である。なぜ...

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