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活動報告

2022/09/30

佐藤直実研究員、日本印度学仏教学会第73回学術大会にて研究発表

2022年9月3日、4日の2日間にわたり、日本印度学仏教学会第73回学術大会が東京外国語大学主催のもと、オンラインにて開催されました。佐藤直実研究員は、第2日目の午前、第3部会で下記の題目にて発表を行いました。

妙喜世界と正法護持

中期大乗経典『大般涅槃経だいはつねはんぎょう』は、阿閦仏あしゅくぶつ の仏国土〈妙喜世界みょうきせかい〉を、末法の世に現れた持戒清浄比丘を破戒者たちから守った者〈正法護持者しょうぼうごじしゃ〉たちが生まれる世界として紹介します。実は釈尊自身も、前世において、持戒清浄比丘を命がけで守ったことがあり、その功徳で、今まさに金剛不壊こんごうふえ なる常住身じょうじゅうしん を獲得したのです。

一方、初期大乗経典『阿閦仏国経あしゅくぶっこくきょう』では、妙喜世界を正法護持の国とは定義せず、阿閦仏と同じ禁欲修行をなした者たちが生まれる世界として紹介します。しかしながら、『大般涅槃経』同様に、末法の世については言及し、法が滅亡する原因として、「人々に法を聴聞する欲がなくなり、法師が教えを説かなくなったから」と説きます。『大般涅槃経』では「戒律を守らない比丘の登場」をあげるのとは異なる主張です。

佐藤研究員は、『大般涅槃経』に記される妙喜世界の様相をチベット語訳と漢訳をもとに確認し、『阿閦仏国経』の法滅の記述を手がかりに、正法護持と法滅について考察しました。

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