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活動報告

2021/09/09

佐藤直実研究員、日本印度学仏教学会第72回学術大会にて研究発表

2021年9月4日、5日の2日間にわたり、日本印度学仏教学会第72回学術大会が大谷大学主催のもと、オンラインにて開催されました。佐藤直実研究員は、第2日目の午前、第2部会で下記の題目にて発表を行いました。

妙喜世界の菩薩の特徴

妙喜 みょうき 世界(阿閦仏国土 あしゅくぶっこくどに住む菩薩の特徴を、初期大乗経典『阿閦仏国経』の記述をもとに整理し、その特徴を考察しました。

妙喜世界の菩薩は、出家者と在家者から構成され、また、仏力と自力の2つの力によって法を受持し宣説し、諸仏国土を遍歴し、多くの諸仏にまみえるという修行を行っています。清浄で恐れがなく、不動・不退転という性質を持ち、したがって、成仏が確定しています。この世の「預流果 よるか(須陀洹果 すだおんか」や、「授記された菩薩」や「無生法忍 むしょうぼうにんを得た菩薩」「菩提座に坐す菩薩」と等しいとも記されます。

預流果とは、声聞乗 しょうもんじょう(初期仏教)の修行階梯「四向四果 しこうしか」の第1段階を指し、続く第2から第4段階は「一来果 いちらいか(斯陀含果 しだごんか」「不還果ふげんか(阿那含果 あなごんか」「阿羅漢果 あらかんか」と言います。ところで、妙喜世界の菩薩は、預流果とは等しく、一来果・不還果・阿羅漢果とは等しくありません。預流果よりも高位の一来果・不還果・阿羅漢果とは等しくないのはどういうことでしょうか?

妙喜世界の菩薩は、不退転であり、成仏が確定しています。したがって、預流果(入門者)となったあとに、わざわざ一来果・不還果・阿羅漢果といった段階を設ける必要がないためではないかと考えます。

妙喜世界は、菩薩のみならず、声聞(初期仏教徒)も、修行に段階を設けません。妙喜世界は、成仏が確定していることが大きな特徴であり利点であると考えられます。

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