文字サイズ: 標準

CIRの活動

バックナンバー

活動報告

2013/10/12

佐藤直実研究員の論文が『信仰とは何か(一)ー仏弟子ということー』に掲載されました。

 このたび、佐藤直実研究員の論文「『大般涅槃経』における仏弟子チュンダとその供養』が、『信仰とは何か(一)ー仏弟子ということー』(日本佛教学会編、平楽寺書店)及び、日本佛教学会年報第78号に掲載されました。
 仏弟子チュンダは、釈尊に最後の供養を捧げた者として有名ですが、その評価は初期と大乗『大般涅槃経』とで異なります。佐藤研究員はその点に注目し、考察を行いました。
 初期では、あたかもチュンダの供養を食したことで釈尊の入滅が早まったかのような否定的な表現が目立ちますが、大乗では、為しがたい最後の供養を成就した者として、賞賛喝采されます。ところが、釈尊自身は一貫して、成道時の供養(一般的にスジャーターの乳粥と言われる)に匹敵する尊い供養であると讃歎し、初期と大乗とでその評価は異なりません。これらの事実から、初期涅槃経は凡夫の視点(世俗諦)も含まれているのに対し、大乗涅槃経は如来の視点(勝義諦)で記されているのではないかと、佐藤研究員は結論づけています。また、今後の課題として、こういった傾向が、大乗仏教経典全体にあてはまるかどうかについても検討したいと述べています。