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宗教情報センターの研究員の研究活動の成果や副産物の一部を、研究レポートの形で公開します。
不定期に掲載されます。


2022/02/22

2019年の海外の宗教関係の出来事~ウクライナの宗教

宗教情報

藤山みどり(宗教情報センター研究員)

2019年9月に米ニューヨークの国連本部で開催された気候行動サミットには、スウェーデンの16歳の環境保護活動家グレタ・トゥーンベリがヨットで大西洋を横断して出席し、演説を行った。環境保護意識の高まりは、死者を弔う方法にも変化をもたらした。2019年5月には全米で初めてワシントン州で人間の遺体を堆肥化し、肥料として使うことを認める法律が成立した(2020年5月1日施行)。米リコンポーズ社は、遺体をわらなどで包み、微生物の働きで土にする。スウェーデンのプロメッサ・オーガニック社は、遺体をフリーズドライ化して腐植土にする技術を開発したが、法律との関係でまだ実現していない。だが今後、遺体の堆肥化が普及する可能性はある。食物連鎖のひとつにヒトを位置づける考え方が浸透すると、人々の、地球や動植物ひいては人との関わり方にも良い変化が起きるのではないだろうか。

では、2019年に起きた海外の宗教関係の出来事を下記4項目に分けてみていく。2019年には、国家と宗教が絡んだ出来事が多かった。中国では2018年に引き続き宗教管理が強化され、少数民族の宗教面を含めた抑圧が国際問題化した。ウクライナでは、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発したロシア正教会とウクライナ正教会の対立が、東方正教会内の分裂状況をもたらした。また、厳格なイスラム教国として女性の行動を厳しく制限していたサウジアラビアでは、ムハンマド皇太子が制限緩和を進めた。海外投資を呼び込むため、またサウジアラビア人記者カショギ氏殺害事件(2018年)など人権侵害への批判をかわすため、自動車運転解禁(2018年)に続き、国内旅行時の後見人制度廃止など女性の解放が進んでいるが、官主導の改革が定着するか疑問符もつけられている。

宗教が国家や民族を象徴する出来事がみられた一方で、欧米諸国では「無宗教」の増加が統計にも現れた。この要因のひとつには聖職者による性的虐待とその隠蔽など宗教界の堕落も挙げられる。宗教界は人々のために生き残ろうとしているのか。あるいは自分たちの勢力を維持しようとしているだけなのか。その在り方を省みる必要がありそうである。

(1)イスラム国の分派勢力の伸長と宗教施設を狙ったテロ
(2)国家対立が及ぼす宗教界の分断…ロシアとウクライナ
(3)中国の宗教事情と各国の対応
(4)「無宗教」の増加と聖職者による性的虐待

※「2019年の海外の宗教関係の出来事一覧」は下記を参照ください。

(1)イスラム国の分派勢力の伸長と宗教施設を狙ったテロ

2014年6月の建国宣言以来、シリアとイラクにまたがる地域に台頭した「イスラム国(IS)」だが、2015年後半からは退潮し、2019年3月には最後の拠点だったシリア東部バグズが陥落。10月にはシリアで最高指導者アブバクル・バクダディが米軍に殺害された。

本拠地では弱体化したISだが、3月のバグズ陥落までにIS戦闘員だった外国人4万人以上のうち7千人以上が母国に戻ったとみられ[1]2019年にはISからの帰還者やISに影響を受けたものが世界各地で活動を継続した。1月にフィリピン南部のキリスト教会で20人の死者を出した爆発でISの「東アジア州」が犯行声明を出した。ISは4月にコンゴに支部、5月にはインドに「ヒンド州」、パキスタンに「パキスタン州」設立を宣言した。また5月には国連安保理が、パキスタンとアフガニスタンにまたがる地域で活動する「イスラム国ホラサン」を制裁対象に追加した。

2019年には、宗教施設を狙ったテロが複数発生した。3月にニュージーランド南島クライストチャーチでは、ノルウェー連続テロ(2011年)に影響を受けたという極右の白人至上主義者が2つのモスクで連続して銃を乱射し、51人が死亡した。オーストラリア国籍の実行犯は犯行声明をSNSに投稿し、惨劇をフェイスブックでライブ配信した。この事件は2019年以降に極右テロを起こした犯人たちに影響を与えた[2]

このモスク銃撃テロへの報復として、スリランカで連続爆破テロが起きたというのが同国政府の見解である。4月のキリスト教の復活祭の日曜日に、同国の最大都市コロンボなどの3つのキリスト教教会や高級ホテルなど計8カ所で連続爆破テロが発生し、253人が死亡した。同国人実行犯9人は、ほとんどが富裕層出身の高学歴者だった。ISが犯行声明を出したが、同国政府はISの影響を受けた地元のイスラム過激派「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」による犯行と発表した。

SNSの発達で、個人から世界に向けて情報発信、個人による世界の情報収集が容易になったこともあり、思想や情報の世界への伝播が迅速になった。海外の大きな動きに関しては、自国への伝播を予測し、警戒・対応する必要がでてきている。

 

(2)国家対立が及ぼす宗教界の分断…ロシアとウクライナ

宗教と民族や国家には密接な関係がある。このため国家間の対立に宗教が絡むのはやむを得ないのだろう。2014年3月にロシアがウクライナ領クリミアを併合したのに続き、ウクライナ東部ではロシアが支援する親ロシア派とウクライナ軍の武力紛争が続いている。この影響が両国の宗教界にも飛び火し、東方正教会内に対立がもたらされた。

東方正教会の信者はロシア、東欧、ギリシャを中心に2億6000万人である[3]。ローマ・カトリックがローマ教皇を頂点とするピラミッド組織であるのに対して、東方正教会では各地の総主教は対等な関係にある。ただし、コンスタンティノープル全地総主教(総主教)は「同格者の中の第一人者」として各地の総主教の独立を認めてきた。東方正教会の最高権威はコンスタンティノープル総主教庁であるが、最大勢力は1億3600万人の信者数を誇るロシア正教会(モスクワ総主教庁)である[4]。ロシアにおいて、保守層の支持獲得を狙うプーチン政権と協調関係を保って勢力を伸ばし、国民の65[5]を信者としている。一方、ウクライナでも人口(4205万人、2019年)の64.9 %[6]が正教会の信者である。このほかウクライナには、ローマ教皇の首位権を認めながらも儀礼は正教会の形式で行う東方典礼カトリック教会の信者が9.5%、カトリック(ローマ・カトリック)の信者も1.6%いる。

米国のピュー・リサーチセンターの調査(20152016年実施)によると、正教会信者が過半数を占める国ではカトリック国に比べて、教会への出席率は高くないが、国民アイデンティティの共有には正教会信者であることが重要と考える人が多い[7]。このため正教会は、国家間の対立の影響を受けやすい素地があるといえる。

 

コンスタンティノープル総主教庁とモスクワ総主教庁

ロシアとウクライナの両国の起源となる国家キエフ・ルーシでは、988年にキリスト教を国教としたとされる。1054年にキリスト教が東西分裂すると、現在のウクライナ正教会に連なるキエフ府主教区はビザンツ帝国の首都にあったコンスタンティノープル総主教庁の管轄下となった。だがキエフが衰退してモスクワが繁栄すると、モスクワ府主教は1589年にコンスタンティノープル総主教に独立を認めさせ、モスクワ総主教となった。そしてモスクワ総主教庁(ロシア正教会)は1686年にキエフ府主教区を編入した[8]

ウクライナには、ロシア革命、ソ連からの独立を経て、次の3つの正教会が存在していた。

  ①モスクワ聖庁ウクライナ正教会……1686年にロシア正教会の管轄下となった正教会。ロシア正教会の教会区の3分の1を占める。
②キエフ聖庁ウクライナ正教会……ウクライナ独立後の1992年にロシア正教会から独立を表明して設立されたが、モスクワ総主教庁(ロシア正教)から破門にされた。
③ウクライナ独立正教会……ロシア革命後の1921年、ウクライナ独立の機運が高まったとき、典礼に教会スラブ語ではなくウクライナ語を使用しようとしたウクライナ化推進者が設立。

このうち②と③は、世界の正教会からは承認されていなかった。だが、2014年のクリミア併合以降、プーチン政権と協調するロシア正教への反発から、ウクライナではロシア正教(モスクワ聖庁系)離れが進んだ。正教会のなかでも信者数が最多だったモスクワ聖庁系と答えたウクライナ人は2013年には19%だったが2018年に12%に低下し、キエフ聖庁系と答えた比率が18%から28%に上昇した[9]。なお、ウクライナ独立正教会の所属は2018年には0.3%で、「単なる正教会信者」と回答した人が23.4%だった[10]

ウクライナではロシアの侵攻以降、キエフ聖庁系正教会がコンスタンティノープル総主教に独立承認を働きかけ、2015年6月に総主教はキエフ聖庁系とウクライナ独立正教会の統合後に独立を承認する可能性に言及した。こうして伝統的な権威をもつコンスタンティノープル総主教庁と、実質的な勢力をもつロシア正教会の主導権争いが始まった。

2016年2月にロシア正教会キリル総主教は、会談要請を断り続けてきたローマ教皇フランシスコと歴史的な「東西会談」を行った。共同宣言では、中東のキリスト教徒の保護とともにウクライナ問題にも言及された。ウクライナにある教会に対立を控えるよう呼びかけ、正教徒同士の分裂が既存の教会法上の規範を通じて克服されることを望む[11]というロシア寄りの内容だった。会談は、シリア内戦でアサド政権を支援するロシアと、その政権下にいるキリスト教徒の保護を望むバチカンの利害が一致したものであり、ウクライナの正教会の独立を図るコンスタンティノープル総主教庁へのけん制ともみられた。これには、ロシアの侵攻に反発するウクライナの正教会信者だけでなく、東方典礼カトリック教会のスビャストラフ最高大司教も嘆いた[12]

ロシア正教会とコンスタンティノープル総主教庁の対立は先鋭化し、会談後の2016年6月、キリル総主教はコンスタンティノープル総主教バルトロメオ1世が各国の独立正教会トップを集めた「全正教会会議」を欠席し、2017年にモスクワに各国総主教を招集した。

2018年4月にはウクライナのポロシェンコ大統領がコンスタンティノープル総主教バルトロメオ一世にウクライナ正教会の独立を求める請願書を提出。一方のロシア正教会は9月にウクライナ正教会の独立承認への報復措置として、コンスタンティノープル総主教庁との関係の一部停止(主催・共催会議への不参加、共同礼拝の停止)を発表。だが10月にはコンスタンティノープル総主教庁が、キエフ府主教区をロシア正教会の管轄と認めた1686年の書簡を無効とし、キエフ聖庁系ウクライナ正教会の正統性を認める決定をした。これを受けて12月にはモスクワ聖庁系を除く2つの正教会が統一してウクライナ正教会を新設。2019年1月にはコンスタンティノープル総主教バルトロメオ1世が、このウクライナ正教会にロシア正教会からの独立を認めるトモス(宗教上の決定文書)を交付した。

ロシアのタス通信によると、この時点でギリシャやポーランド、セルビアの正教会が、「トモスは無効」とするロシア正教会の支持にまわった[13]。だが202010月末までに、アテネ(ギリシャ正教会)、アレキサンドリア(エジプト)、キプロスの正教会が新生ウクライナ正教会を承認した[14]。地理的にロシアに近い正教会がロシア正教会側につき、トルコに近い正教会がコンスタンティノープル総主教庁側についたといえる。ロシアとウクライナの紛争が、東方正教会内部にも対立をもたらした。

ローマ・カトリック教会と東方典礼カトリック教会

ロシアとウクライナの紛争はまた、ウクライナの東方典礼カトリック教会にローマ・カトリック教会への不満を募らせたようである。2015年6月にローマ教皇フランシスコがロシアのプーチン大統領と201311月に続く2回目の会談をしたときには、ウクライナの東方典礼カトリック教会の信徒たちは教皇にロシアへの非難を期待したが、ロシア正教との関係改善を目指していた教皇は批判を避けた[15]。作家・佐藤優は、イスラム教原理主義過激派との戦いで連携を図るとともに、プーチンは教皇にウクライナ東部の親ロシア派武装勢力が紛争を激化させないよう働きかけることを約束し、教皇はプーチンに東方カトリック典礼教会の反ロシア主義を抑制させることに肯定的言質を与えたのではとみる[16]

2018年5月にバチカンを訪れたロシア正教会の訪問団に教皇は、「カトリック教会がロシア正教会内部や政治的な問題に介入してはならない」[17]と、ロシアに反発する東方典礼カトリック教会をけん制するような発言をした。この約1カ月後にウクライナの東方典礼カトリック教会のスビャストラフ最高大司教が教皇と非公式に面会し、ウクライナ正教会の独立に「干渉していない」と釈明した[18]

2019年7月にも教皇はプーチン大統領と「ウクライナ東部紛争やシリア内戦などについて意見交換し」、両者は「バチカンとロシアの関係発展に満足感を表明した」(『カトリック新聞』2019年7月14日)。「バチカンとロシア正教の関係は着実に改善していて」2016年に両トップが会談したが、「バチカンがウクライナ東方典礼カトリック教会を支援していることなどで、緊張関係も続いている」(同)。『カトリック新聞』ではロシアと均衡を保っていると主張しているが、教皇の姿勢はロシア寄りにみえる。

南米アルゼンチン出身のローマ教皇フランシスコは、反共産主義だったポーランド出身の2代前の教皇ヨハネ・パウロ2世に比べると、親ロシア、親中国である。中南米で1960年代に始まった「解放の神学」運動は、貧困など抑圧からの解放を志向する社会改革運動で、関わった聖職者はマルクス主義者と批判された。ローマ教皇フランシスコは中道とみられた時期もあったが[19]、アルゼンチンで「解放の神学」を学んでおり[20]、貧者を優先する。

ローマ教皇フランシスコは中国に懸念を示してきた韓大輝(ホン・タイファイ、香港)大司教を2017年9月に福音宣教省大臣の要職から解いてギリシャ外交代表とし[21]2018年9月に中国と司教任命の暫定合意を結んだ。バチカンが、バチカンに忠誠を尽くしてきた地下教会ではなく、政府公認の中国天主教愛国会と手を組んだように、カトリックとして異色な東方典礼カトリック教会は切り捨てられるのだろうか。中国は約14億人の人口をもつ有望な信者獲得先である。だが、ロシアと組むメリットは、イスラム原理主義との共闘、反米カトリック国家ベネズエラへの対応など、大きくない。駆け引き材料として維持されるだろう。

バチカンに関わる差し迫った課題は、やはり、中国の圧力によって台湾と外交関係をもつ国が減る(202112月にニカラグアが断交し、14カ国)なかで、台湾との国交をいつまで保つのか、断交と引き換えにバチカンが中国から何を引き出すのか、であろう。2019年には中国・北京で開催された国際園芸博覧会(4月~10月)にバチカンが初めて出展した。開幕式には、文化評議会議長(文化庁長官)を務めるジャンフランコ・ラバージ枢機卿が出席した。国交のない中国への枢機卿の公式訪問は異例である[22]

ソ連崩壊後の米国一極支配を経て、中国の台頭と多極化によって国家間のパワーバランスが変化しつつある現在、宗教界もこれまでとは異なった動きをみせるだろう。

 

(3)中国の宗教事情と各国の対応

習近平主席が共産党一党独裁体制を進める中国では、2018年の「改正宗教事務条例」施行に引き続いて2019年も宗教管理が強化された。2019年の中国の小学生用の教科書に掲載された外国文学からは、「聖書」や「神」「キリスト」などの文言が削除された[23]。米中対立が激化する折、トルコ系でイスラム教徒が多いウイグル族、チベット仏教徒が多いチベット族、キリスト教徒などへの政策は、米国が中国を批判する恰好の材料となった。とくに中国の新疆ウイグル自治区における政策は、「信教の自由」や人権の侵害として国際問題化した。これらの批判に対して中国は、「内政干渉」と強く反発している。

◆新疆ウイグル自治区のイスラム教徒

2019年1月3日、中国の党中央統一戦線工作部は、新疆ウイグル自治区で120万人の党幹部や政府関係者と169万人のウイグル族家庭が1対1で親戚関係を結ぶ制度を2年前に導入したと発表。これを米国の報道機関はウイグル族の監視制度と指摘した[24]。また1月6日付の人民日報系の環球時報(英語版)は、イスラム教を「中国化」する5カ年計画(20182022年)を報じた。党の意向を受けて中国イスラム教教会が計画し、イスラム教徒に「社会主義の価値観や法律、(漢族の)伝統文化などについての講座や訓練」[25]を行うという。

 新疆ウイグル自治区に関しては、20188月に国連人種差別撤廃委員会で米人権活動家らが、「中国のウイグル族ら100万人以上が新疆ウイグル自治区の再教育施設に強制的に収容されている」[26]と報告。これに対して中国側は、同自治区はテロの被害を受けた場所で「軽微な罪を犯したものを職業技術教育就業訓練センターで学ばせている。合法的権利も保障されている」と反論した[27]。さらに中国政府は10月に「過激化排除条例」(2017年制定)を改正。過激思想の影響を受けた人を強制収容し、中国語の学習や思想教育や心理・行動の矯正をして社会復帰させる「職業技能教育訓練センター」の設置を合法化した[28]

だが、米国は批判の手を緩めなかった。米国務省は2019年3月に2018年版人権報告書を発表し、中国のウイグル族やチベット族、キリスト教徒への迫害を非難した。さらに6月に発表した2018年版「信教の自由」に関する報告書でも、中国の新疆ウイグル自治区における抑圧を非難。2017年4月以降、当局によるウイグル族らイスラム教徒の拘束が80万人~200万人以上と推計し、拷問による死者も出ているとした。11月には米ニューヨークタイムズ紙(17日付)が中国政府の内部文書を入手したと報じ、習近平国家主席が2014年春にウイグル族の取り締まりは「テロや分離主義との戦い」と位置づけ、「情け容赦は無用だ」と当局者らに弾圧を奨励したと明らかにした[29]

 こうした批判に対して、中国は新疆ウイグル自治区に関する白書を2019年に3回も出した。3月はテロに関する白書で、新疆は古くから中国の領土だが、「テロリストと過激派の勢力」が歴史を「歪曲」し、分離独立を扇動していると主張。「2014年以降、テロリスト12995人を逮捕、4858の違法な宗教活動で3645人を処罰」[30]などと説明した。7月には歴史に関する白書を発表し、「ウイグル族がイスラム教を信じるようになったのは、当時の民衆が自発的に改宗したわけではなく、宗教戦争と支配階級が強制した結果だ」とし、ウイグル族が信じてきたのは「(中国化した)新疆のイスラム教」と強調した[31]。同じ7月には中国外務省の報道局長が、新疆ウイグル自治区にあるのは強制収容施設ではなく「職業訓練所で、ウイグル族らの生存権を最大限保障するための施設だ」と述べ、米国の批判に「事実を歪めるな」と猛反発した[32]

 8月にはウイグル族の収容施設に関する白書を発表。宗教学校以外での教育機関での宗教活動を禁じた改正宗教事務条例の規定に基づき、「(収容された)学生は宗教活動に参加してはならない」と明記しており、米政権の「施設ではウイグル族の文化、宗教が破壊されている」という批判を立証するものだった[33]

なお、新疆ウイグル自治区のナンバー2である自治区主席は12月に、ウイグル族の「再教育施設」での「教育は全員修了した」として、施設の運営方針の変更を表明した[34]

 この米中の応酬では、経済力を背景に中国が優勢である。世界最大のイスラム教徒を抱えるインドネシアでは201812月に反中国デモが起き、国内2位規模のイスラム教徒組織「ムハマディヤ」の指導者らが公開書簡で中国に説明を求めた。これに対して、中国はムハマディヤなどインドネシアの宗教組織の指導者や報道関係者らを新疆に招いて再教育施設を見学させ、施設を称賛させた[35]。彼らは、米国の報道機関や西側の組織が誤った情報を伝えていると批判した。無償支援など中国の世論操作が功を奏し、インドネシア政府もウイグル問題は中国の国内問題として沈黙を守っている[36]

また、中国から逃れてきた亡命ウイグル族が約5万人も住むトルコでは、2019年2月に外務省が中国を強く非難する声明を発表した。だが2009年ウイグル暴動のときには中国を強く非難したトルコのエルドアン大統領も近年は、最大の輸入相手国となった中国への批判を控えており、この声明は3月の統一地方選挙を前に、連立を組んだ極右政党の意向で発しただけとみられた[37]2017年にトルコは中国との犯罪人引き渡し条約に署名し、国会での批准手続きを進めており(中国は202012月に批准)、亡命ウイグル族らは中国への強制送還を懸念している。中国が関係を強化しているイスラム教国のエジプトやUAE、サウジアラビアでは20172019年にかけて、ウイグル族が中国に強制送還されたことを人権活動家が確認している[38]

 国連では、中国を支持する国が多数派だった。2019年7月8日には、欧州の国々や日本な22カ国[39]が中国政府によるウイグル族への弾圧を非難する共同書簡を国連人権理事会に提出。その4日後には、ロシアやサウジアラビア、ナイジェリア、フィリピンなど37カ国が中国の対応を擁護し、根拠のない中傷を批判する書簡を公開した[40]10月の国連総会第三委員会でも、欧州各国や日本など先進国を中心とした23カ国が中国に人権尊重を求める共同声明を発表したのに対して、ロシアやアフリカ諸国など54カ国が中国の人権対応を支持する共同声明を発表し、対立が明白になった[41]。もはや「信教の自由」や人権の問題ではなく、2大大国の主導権争いの具となっている。

◆チベット仏教

独立を警戒する中国政府による少数民族への弾圧は、新疆ウイグル自治区だけでなく、チベット自治区でも続いている。だが中国の台頭により、批判が封じられつつある。2012年に映画興行収入が米国に次ぐ2位[42]2020年には初の世界1位[43])になった中国への配慮は、米ハリウッドでも顕著である。反中発言を繰り返したチベット仏教徒の俳優リチャード・ギアの映画出演は消えた[44]2018年2月にはチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の言葉を独高級車ブランド「メルセデス・ベンツ」がインスタグラムの広告で引用したところ、中国からは閲覧できないにもかかわらず、中国共産党機関紙『人民日報』のサイト「人民網」で批判され、ベンツは中国版ツイッターの公式アカウントで謝罪声明を発表した。

2019年は、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世がインドに亡命するきっかけとなったチベット動乱(1959年3月10日)から60年にあたる。中国政府は3月6日開催のチベット自治区分科会や同月27日発表のチベット自治区に関する「白書」で、経済発展を強調した。だが2008年3月のチベット騒乱(反中国デモ)が弾圧されてから、中国に抗議するためデモの代わりに焼身自殺をしたチベット族は153人に上った。

チベット亡命政府があるインド北部ダラムサラでは10日に式典が開かれ、同地とニューデリーで亡命チベット人らが中国への抗議デモを行った。だが亡命チベット人社会も、監視が厳しくなった2008年以降は中国からの亡命者が減り、先細りである。「高度な自治」を求める亡命政府と中国政府との対話は2010年以降、中断している。チベット人の心の支えであるダライ・ラマ14世は2019年7月に84歳となり、後継問題への懸念がある。

活仏とされる高僧は輪廻転生制度の伝統に則り、死後に生まれ変わりの子ども(転生者)を高僧らが選定して後継者とする。中国は2007年に活仏の転生を政府の許可制とし、後継者選びに介入しようとしている。すでに中国はダライ・ラマに次ぐ高位の活仏パンチェン・ラマの後継者選びに介入した過去がある。パンチェン・ラマ10世が1989年に急死した後、ダライ・ラマ14世が1995年に転生者と認定したチベット自治区のニマ少年(6歳)は3日後に中国に拘束されて消息不明となった。代わりに中国はノルブ少年を転生者に認定した。チベット人から信奉されているかはともかく、彼は現在パンチェン・ラマ(エルデニ)11世として政協(中国人民政治協商会議)全国委員会常務委員、中国仏教協会副会長、中国仏教協会チベット分会会長など中国政府の要職に就いている。一方、ニマ少年の行方は知れず、米国による解放要求に対して、中国は2020年5月に「ニマは大学を卒業して就職した」と発表した。後継者が成長するまで時間がかかる輪廻転生制度が中国に利用されたのだ。

このためダライ・ラマ14世は、後継者は「高僧の間で選べばよい」[45]と輪廻転生制度の廃止にも言及している。「私の転生者を必要とするかどうかを最終判断する権利は、チベット国民にある」とし、転生者が必要な場合には「中国支配下のチベット国内ではなく、平和な世界のどこかの国に生まれると断言する」とも述べた[46]201910月に世界24カ国から約340人の亡命チベット人代表らが参加した特別会議は、ダライ・ラマ制度の継続を求めたうえで、継承方法の決定権はダライ・ラマのみにあると、中国の介入を拒否する決議を採択した。11月開催のチベット仏教の高僧らの会議でも同様の決議が採択された。

亡命チベット人を受け入れてきたインドは、中国と長年、国境紛争で敵対してきた。だがモディ印首相は国境問題の解決と引き換えに、ダライ・ラマ14世没後にはチベットからの亡命受け入れを止める方向で習主席と非公式に協議したとされ、2017年から亡命チベット人にインドのパスポート取得を促し始めた[47]。もっとも2020年6月にはインド北部ラダック地方の係争地で中印両軍が衝突して1975年以来の死傷者を出し、関係は再び悪化した。中印の関係悪化はチベットにとって好都合であるが、中国が経済発展を遂げた現在、状況は以前よりも悪化している。だが中国は少子高齢化が加速しており、長期的にみれば中印の勢力は逆転するだろう。中国が連邦制になる可能性があるにしても先の話で、チベットの苦難はしばらく続きそうである。

 

(4)「無宗教」の増加と聖職者による性的虐待

旧ソ連の国や中国の少数民族にとって宗教は重要であっても、欧米諸国では異なる。「無宗教」が増えており、聖職者による性的虐待が大々的に報じられたカトリックだけでなく、宗教を問わず宗教離れが起きている。

2019年4月15日に火災で損壊したフランス・パリにあるカトリックのノートルダム大聖堂の再建には、実業家や企業、外国政府などから多額の寄付の申し出が相次ぎ、総額は約10億ユーロ(約1230億円)にも達した[48]。だが、これは宗教心の発露というよりは寄付という文化の現れと解すべきだろう。

カトリックの性的虐待

カトリックでは、世界各国で発覚した聖職者による性的虐待の影響による教会離れが指摘されている。この5年で信者数がイタリアでは7%、アイルランドでは6%も減少し、バチカンへの寄付金収入が2018年は5100万ユーロ(約61億円)で2006年の約半分に減少した[49]20092017年の信者増加率は、アフリカで約30%、アジア・オセアニアで約15%に上ったが、欧州では1%未満にとどまる[50]。それでもバチカンが2019年に発表した2017年末の統計では、世界の信者数は全大陸で前年よりも増えて13億人超で、人口比は約17.7%で1970年から一定値を維持している[51]。一方で修道女数は下降の一途で、2001年末の792000人から648910人になった[52]

バチカンは2019年2月2124日に性的虐待に関する初の会議を開催。隠蔽体質の改善が必要と、5月にはローマ教皇フランシスコが司教や修道会上長に性的虐待の報告を義務づける新規範と指針を発表し(6月1日発効)、1217日には聖職者の守秘義務を性的虐待に関して除外する指示を出した。

もっともバチカンの体質改善は容易ではない。2019年にはバチカンの女性向け月刊誌『ドンネ・キエザ・モンド(女性・教会・世界)』2月号(2月1日発行)が聖職者による修道女への性的虐待についての記事を掲載[53]。この問題が現在進行形であることをローマ教皇フランシスコは公に認めた。ただし、衝撃的な記事を掲載した女性編集長と女性役員、女性スタッフ全員が、周囲が浴びせる不信感に耐えかねて3月下旬には辞任した[54]

2019年3月には、ジョージ・ペル枢機卿がメルボルンの大司教だった1996年に少年2人に性的虐待をした罪で、豪州の裁判所から禁錮6年の刑が言い渡された。20192月までバチカンの財務局長官(財務相)だったペル枢機卿への有罪評決は、性的虐待で有罪となった聖職者としては最高位とされたが、2020年4月に同国の連邦最高裁が「必要十分な証拠に基づいて有罪が立証されていない」[55]として逆転無罪を言い渡した。

未成年への性的虐待は、被害者が性的被害を受けたと認識するまでに時間がかかり、時間が経ってからの立証は難しく、裁判では被害者側が不利になる場合が多い。また、政治力と資金力をもつ容疑者には、警察も及び腰である。2018年にはインドで修道女が司教による強制性交を告訴したが警察が動かず、修道女たちがデモを行ってようやく司教が逮捕された(※2022年1月に裁判所は司教に無罪判決を下し、検察は上訴の方針)。一方で、証言だけで判断すると、えん罪を生む可能性もある。

性的虐待の報道は、カトリック信者がこれまで多かった地域が中心である。信者数の伸びが著しいアジア・アフリカでは、これまで信者が少なかったことから当然、まだ少ない。経済発展が見込まれるアジア・アフリカでの教勢伸長は強みだが、問題の温床とされる司祭の独身制や、男性聖職者の下位におかれる修道女の在り方などの見直しは、ジェンダーレスな現代社会では必須であろう。

 

2019年のカトリックの性的虐待に関する主な報道~

2月1日  バチカンの女性月刊誌が聖職者による修道女への性的虐待を報道

2月13日 米ニュージャージー州5教区が性的虐待容疑の元聖職者189人の名簿を公開

2月15日 バチカンが、米ワシントン名誉大司教のセオドア・マカリック(2018年7月に枢機卿を辞職)の性的虐待の罪を認定し、聖職解任を本人に通知

3月7日  仏リヨンの裁判所がリヨン大司教フィリップ・バルバラン枢機卿に聖職者に 

よる性的虐待隠蔽の罪で執行猶予付き禁錮6カ月の有罪判決

3月13日 豪ビクトリア州地裁がジョージ・ペル枢機卿に児童性的虐待で禁錮6年の判決

3月27日 チリのサンティアゴ控訴裁が同国カトリック教会に聖職者による性的虐待被害者の男性3人に各1億ペソ(約1600万円)の賠償金の支払いを命じる

1125日 アルゼンチンのメンドサの裁判所が、カトリック系障害者施設で聴覚障害児に性的虐待を繰り返したとして、司祭2人に禁錮42年と禁錮45年の判決

 

参考)2020年以降に公表された被害報告書の内容(日付は公表日)

2020.12.21 メキシコの修道会「レジオン・オブ・クライスト」の創設者ら聖職者33人が未成年者175人に繰り返し性的虐待

2021..18 独ケルン大司教区で聖職者ら202人が性的虐待し、被害者314

2021.10.5 仏カトリック教会で1950年代以降、聖職者約3000人が性的虐待に関与、被害者216000人(教会以外での報告を含めると33万人)

 

 米国

米国では、2002年にボストン・グローブ紙がカトリックの聖職者による性的虐待を世界に先駆けて調査報道した。そして2018年6月には前ワシントン大司教のセオドア・マカリック枢機卿が性的虐待によりバチカンから聖職行使停止処分を受け、8月にはペンシルベニア州の最高裁判所が過去70年間に神父301人が未成年者約1000人に性的虐待をしていたとする報告書を公表。2019年2月にバチカンはマカリック米ワシントン名誉大司教を聖職から解任したが、長年にわたって彼の性的虐待疑惑を隠蔽していたとも報じられた。

*無宗教の増加

2019年3月には、2018年の総合的社会調査(GSS)で、1972年の調査開始以来、初めて「無宗教」という回答が23.1%と最多で、キリスト教福音派(22.5%)やカトリック(23.0%)と並んだことが明らかになった[56]。比率の差は誤差の範囲内で統計上は同位である。だが調査開始時から、福音派は約2~3割の間を推移し、カトリックは2割半ばから2割強へと漸減、最多の約3割だったプロテスタント主流派は1割強に激減して「主流」の名が不適切になったのに対して、5.1%だった無宗教は1990年代半ば以降に急伸している。

この推移からは、性的虐待報道によるカトリック離れは読み取りにくい。だがギャラップ社の調査では、性的虐待報道を受けてカトリックであり続けることに疑問を感じた全米のカトリック教徒は、2002年の22%から2019年には37%に増加した。2002年より20182019年の報道のほうが信者への影響が大きかったことがわかる[57]

また、ギャラップ社が発表した教会出席率(20142017年調査)をみると、カトリックのほうがプロテスタントよりも教会離れが進んでいる[58]。過去1週間の教会出席率をみると、プロテスタントは45%で、1955年(42%)からほぼ一定である。これに対してカトリックは39%で1955年の75%から激減した。しかも1955年はどの年齢層も7割以上で、20142017年でも60歳以上は49%だが、2129歳は25%と激減している。カトリックでは若年層ほど教会出席率の低下が著しい傾向がみられ、見通しは暗い。一方、プロテスタントでは60歳以上が1955年から8%も上昇したほか、全年齢層で約4割前後と安定している。

では、無宗教者は、どの宗教から転向した人が多いのだろうか。米国のピュー・リサーチセンターの調査(2014年実施)では、「無宗教」は米国の成人の22.8%だった[59]。無宗教者の約4分の3はキリスト教徒として育っている。無宗教者はカトリック(28%)として育った人が最も多く、カトリックからの転向者が多い。プロテスタント主流派で育った人は21%と無宗教で育った人(21%)と同程度で、福音派が16%、黒人プロテスタントが4%だった。

*「無宗教」の特徴

GSSでは「無宗教」を細分化していないが、同じ無宗教でも「所属している教団は特になし(特になし)」、不可知論者(神の存在も非存在も知りえない)、無神論者は異なる。

その違いは、政治的態度にも現れている。イースタン・イリノイ大学のライアン・バージ講師は、無宗教者の政治的態度を2018年のCCES(共同議会選挙研究)データで分析した。宗教と人種別に集団を14に分け、無宗教者も「特になし」と無神論者、不可知論者の3つに分けた。すると、最も民主党寄りは、順に①黒人プロテスタント、②無神論者、③イスラム教徒、④不可知論者だった。ただし全体の約20%を占める「特になし」は、全体平均よりもやや左(民主党寄り)だが、無神論者や不可知論者よりもはるかに右である。同じ「無宗教」とするには違いが大きい。ちなみに右(共和党)寄りは白人福音派とモルモン教徒で、白人プロテスタント主流派と白人カトリックは、全平均よりもやや右寄りである。

また、政治的な均質性をみると、無神論者は14集団のなかで黒人プロテスタントに次いで均質性が高い。不可知論者も、イスラム教徒や仏教徒と同様に政治的に統合されている。「特になし」もかなり均質で、白人福音派と同程度である。これに対して政治的な多様性が高いのは、①白人プロテスタント主流派、②白人カトリックである[60]

2019年8月にピュー・リサーチセンターが発表した報告書でも、無神論者と不可知論者、「特になし」の間で大きな違いがみられた。各宗教集団の宗教に関する知識を比較したところ、無神論者と不可知論者はユダヤ教徒と並んで宗教について最もよく知っていたが、「特になし」は最も知識に乏しい部類だった[61]

*「無宗教」の理由

では、無宗教になった理由は何だろうか。ピュー・リサーチセンターの調査(201712月)では、①「宗教の教えに疑問を感じる」(60%)、②「教会の政治社会的態度が嫌い」(49%)、③「宗教団体が嫌い」(41%)などだった[62]。ただし、「無宗教」のなかでも、無神論者と不可知論者、「特になし」では、最も重視する理由が異なる。無神論者は、「神を信じていない」が75%と大多数だが、不可知論者は「教えに疑問がある」が最多(38%)で、「特になし」は「どの理由も重要でない」(28%)「教えに疑問がある」(25%)「教会の政治社会的態度が嫌い」(21%)とさまざまな理由に分かれた。無神論者や不可知論者は、「特になし」よりも積極的な無宗教であることがうかがえる。

無宗教者が伸長した要因については、いろいろな見方があるが、インターネットの存在を挙げる専門家がいる[63]。無神論者の団体責任者は、インターネットは無信仰者が同様の思いを抱く場所を提供していると指摘した[64]

2021年のピュー・リサーチセンターの調査でも、米国で「無宗教」が2007年の16%から29%に増加した。キリスト教徒は78%から63%に減少し、カトリックが2割強を維持しているのに比べてプロテスタントが52%から40%と激減している[65]

英国

英国国教会は2019年2月の総会で、全教会に対して日曜の朝夕の礼拝を義務づけていた1603年発布の教会法令を正式に撤廃した。聖職者の減少により、全教会での毎週の日曜礼拝が不可能になっているためである[66]。この背景には、一人の聖職者が担当する教会の数が増えたことと、礼拝に参加する信者の減少がある[67]。英国国教会は毎年、約20カ所の教会を閉鎖しているという2015年の情報があるほど[68]、教線の退潮が著しい。

英国の社会的態度調査では、1983年の調査開始以来、2016年に初めて「無宗教」と答えた人が過半数(53%)に達した[69]2018年の調査結果でも無宗教は52%で、英国国教会信者は12%(1983年は40%)だった。しかも75歳以上では33%だったが、2534歳の若年層ではわずか3%だった。英国国教会の信者と答えた人であっても、教会に毎週、通っている率は9%と低い[70]

※英国国教会でも聖職者による児童性的虐待の問題があり、202010月に調査報告書が発表された[71]。これによると、1940年代から2018年までに有罪判決を受けた教会関係者は390人。20032018年に英国国教会のメインの保険会社が児童性的虐待に関する請求を処理した件数は217件。2018年に教会に報告された、近年の児童性的虐待は449件。

ドイツ

ドイツでは、カトリック教徒が2018年の2300万人から2019年には2260万人(ドイツ総人口の27.2%)に減少した。2019年に教会のミサに出席するカトリック教徒は9.1%(198922%、201113%)と過去最低水準になった[72]。カトリック教会は2015年までの10年間に515教会を閉鎖しており[73]、減少傾向に歯止めがかからない。2018年9月には、19462014年の間に聖職者による性的虐待が少なくとも3766件だったことが、独カトリック司教協議会の依頼で国内3大学がまとめた報告書で明らかになった[74]

20221月には前教皇ベネディクト16世が対処を怠ったことが報告書で指摘された。

プロテスタント20教会の共同体であるドイツ福音主義教会の会員数も2019年には2070万人と、2018年から44万人減少した[75]

教会離脱の動機は、教会税を払いたくないためでもある[76]19世紀に教会税制度が導入されたドイツでは、所属する宗教団体(カトリック、プロテスタント、復古カトリック、ユダヤ、エホバの証人など公法上の宗教団体)を住民登録の際に申告すると所得税の8~9%が徴収され、それが各教会に交付される。公法上の宗教団体と認められると、教会税の徴収と免税特権が得られるため、エホバの証人のように訴訟して認可を得た団体もある。

教会税は納めたくないが、教会に留まりたい信者もいた。だが年50億ユーロ(約5000億円)の税収入を得て運営されていたカトリックのドイツ司教協議会は2012年9月に、教会税を納めない信者は臨終の「病者の塗油」以外の秘跡を受けられず、教会活動もできない、とする教令を出した[77]。それでも離脱を防ぐことはできなかった。カトリックからの離脱理由としては、聖職者による性的虐待の影響も指摘されている。教会税が信者を教会から離れさせ、教会からは信者を惹きつける活力を失わせているのかもしれない。

教会税忌避者の増加で教会税の廃止が議論されたこともあったが、逆に、教会税の適用範囲の拡大も検討されている。2019年5月には教会税と同様のイスラム教施設への「モスク税」の導入の可能性が報じられた[78]。移民の増加でイスラム教徒は人口の約5%までになったが、イスラム教団は公法上の宗教団体ではないため、教会税は徴収されていないのだ。モスク税の狙いは、国内の宗教施設に資金提供をした国外の反社会組織などが、その宗教施設を牛耳るのを避けるためである。ドイツで約900のモスクを運営する「トルコ・イスラム宗教施設連合」の宗教指導者の給与はトルコ政府から支払われ、トルコのエルドアン政権の管理下にあり、政権に批判的なドイツ在住トルコ人へのスパイ行為が連合関係者に疑われているという。

モスクの資金源の透明化の問題は、スイスでも議論されている。この問題は、モスク税を導入しても解決が難しそうである。

豪州

欧米諸国ではないが、豪州でも「無宗教」が増加している。2016年の国勢調査で、「無宗教」(30.1%)がカトリック(22.6%)を抜いて首位に立った。以下、聖公会(13.3%)、プロテスタントのオーストラリア連合教会(3.7%)、イスラム教(2.6%)、仏教(2.4%)、ヒンドゥー教(1.9%)と続く[79]1966年から2016年の半世紀の変化をみると、キリスト教徒は88.2%から52.1%に減少し、他宗教信仰者は0.7%から8.2%に、無宗教は0.8%から30.1%に大幅に増加した。細かくみると、カトリックは約26%から約23%に微減したが、聖公会は約33%から約13%と半数以上も減らした。無宗教と答える人は1834歳が38.7%であるに対して65歳以上は16.1%と少なく、概ね若年層ほど多い傾向がある。

2019年1月23日の日本経済新聞(夕刊)は、豪州における無宗教の増加の理由として、「豪無神論者財団」の無神論キャンペーンや、性的虐待による教会不信などを挙げる。ただし、豪州で2017年に公表された最終報告書では、子供が被害を受けた宗教施設は61.8%がカトリック、14.7%が聖公会で[80]、信者の減少とは逆の傾向である。米国と同様に、カトリックの減少幅が少ないのは、カトリックは集団の凝集性が高いからだろうか。

豪州におけるカトリックや聖公会の比率の減少は、多様化の現れでもある。2016年の国勢調査では、海外生まれが約26%で、うちアジア出身者が英国など伝統的な欧州出身者を初めて上回った[81]。英国 (14.7%)やニュージーランド (8.4%)以外では、中国(8.3%)やインド(7.4%)、フィリピン(3.8%)、ベトナム (3.6%)などが多く[82]、海外生まれの増加が宗教の多様化につながっている。豪州生まれの人はキリスト教(58.1%)と無宗教(33.8%)以外の「その他の宗教」は3.7%に過ぎないが、海外生まれの人は、キリスト教(47.3%)と無宗教(27.1%)以外の「その他の宗教」が21.3%と多い。宗教の多様化は、移民国家である豪州だけでなく、グローバル化で外国人労働者が増加した先進国に共通のことである。

                 *

無宗教者の価値観と今後

無宗教者は何を重要と考えているのだろうか。2019年5月には「不信仰」に関する世界6カ国(ブラジル、中国、デンマーク、日本、英国、米国)調査の結果が発表された[83]。ここでの「不信仰者」とは、無神論もしくは不可知論に同意した者である。不信仰者と一般との価値観の違いを知るため、43の語句から重要と考える項目を5つ選んでもらったところ、最も多く選ばれたのは「家族」だった。不信仰者も一般の人も首位は「家族」が多く、ブラジルの不信仰者と中国の不信仰者だけ「自由」が首位だった。「家族」はブラジルの不信仰者で2位、中国の不信仰者では3位だった。そのほか上位は、「友情」「思いやり」「正義」「真実」「自然」「科学」「平等」などで、不信仰者も一般もほとんど同じだった。

不信仰者でも家族が大切と考える人が多かったことは、やはり、人には人との絆が不可欠なのであろう。

英国では、教会のほか労働組合やパブなどが人々を結びつけてきた[84]。だが社会の変化に伴って、その機能が薄れてきた。英国の赤十字と生活協同組合の2016年の調査では、18%の人が「いつも」あるいは「しばしば」孤独を感じており、うち75%はどこに支援を求めればよいのかわからなかった[85]1624歳の若い層でも孤独を感じる率が高かった。孤独は健康への悪影響があり、孤独を防げれば医療費が削減できる。そこで英国は2018年1月に世界で初めて「孤独担当相」を設置した。孤独担当相は、孤独になりそうな人々を支援する慈善組織に財政支援をし、孤独対策に有効な施策を調査する。

インターネットは地域を超えた人々のつながりをもたらしたが、顔が見えないSNS上での過剰な攻撃やSNS上での孤立という負の問題も指摘されるようになった。直接的な支援は対面でなければ行えない。対面の交流が制限される状況でなければ、かえって直接的な交流の良さが見直されるだろう。英国で増える無宗教者でさえ、絆づくりのため「神のいない教会活動」を行っている[86]。これまで宗教が果たしてきた役割が見直されている。

宗教は、伝統的であればあるほど教義を含めて当初から変わってきた部分も大きい。原点に立ち返ってあり方を見直せば、まだ復活の機会はあるのではないだろうか。

 

*2019年海外の宗教関係の出来事一覧*

1月6日 東方正教会コンスタンティノープル全地総主教のバルトロメオ1世が、ウクライナ正教会にロシア正教会からの独立を認めるトモス(文書)を授与

1月24日 中国の新華社電は、中国科学院神経科学研究所がゲノム編集と体細胞クローンで体内時計の機能を失わせた同一遺伝情報を持つサル5匹の誕生に成功と報道

2月1日 バチカンの女性向け月刊誌2月号が、聖職者による修道女への性的虐待を掲載

2月3日 ローマ教皇フランシスコがUAEをローマ教皇として初めて訪問(~5日)

2月12日 トルコ当局、警察の不正関与の疑いで在米イスラム指導者ギュレン師の支持者1112人の拘束命令

2月21日 英国国教会、全教会に日曜朝夕の礼拝を義務付けていた1603年以来の規定を正式に撤廃、聖職者の減少で兼任教会数が増えたため

2月26日 フィリピン・ミンダナオ島にバンサモロ暫定統治機構発足、首相にモロ・イスラム解放戦線(MILF)のムラド議長が就任

3月10日 チベット動乱から60年で、インド各地で中国への抗議集会やデモが発生

3月13日 豪ビクトリア州裁判所がジョージ・ぺル枢機卿に性的虐待で禁錮6年の判決

3月15日 NZクライストチャーチのモスク2カ所で白人至上主義者が銃乱射、51人死亡

3月22日 米トランプ大統領、イスラム国(IS)のシリア支配地域を完全に奪還と発表

4月3日 イスラム教国ブルネイで不倫と同性愛行為に投石による死刑を科す刑法を施行

     (5月5日、国王が適用の猶予を発表)

4月11日 韓国の憲法裁、妊娠中絶した女性に懲役や罰金を科す堕胎罪に違憲との判断

4月15日 パリのノートルダム大聖堂、火災で屋根と尖塔が焼失、5月15日までに再建費用として約10億ユーロ(約1230億円)の寄付の申し出

4月21日 スリランカのキリスト教会や高級ホテルでイスラム過激派組織「ナショナル・タウヒード・ジャマア(NTJ)」による連続爆破テロがあり、253人死亡

4月29日 バチカンが国交のない中国で開催された北京国際園芸博に出展(~10月7日)

5月4日 「仏教徒であり、宗教の擁護者である」タイ国王戴冠式(~6日)

5月9日 ローマ教皇フランシスコ、全聖職者に虐待報告義務を指示(6月1日施行)

5月10日 ISがインドに「ヒンド州」の設立を宣言

5月15日 ISがパキスタンに「パキスタン州」の設立を宣言

5月15日 米アラバマ州で人工妊娠中絶を禁止する州法が成立。事実上、中絶を全面禁止

5月21日 米ワシントン州で遺体の堆肥化を認める法律が成立(2020年5月1日施行)

5月24日 台湾で同性婚合法化を施行、アジアでは初めて

6月2日 ローマ教皇フランシスコ、ルーマニアでロマ差別へのカトリック関与を謝罪

6月7日 スペインのバルセロナにあるサグラダ・ファミリア教会が市に460万ユーロを支払って正式な建築許可を取得し、137年に及ぶ違法建築状態が解消 

6月19日 豪州初、ビクトリア州で終末期患者に対する安楽死解禁

7月2日 パレスチナのベツレヘム聖誕教会が修復により「危機遺産」指定解除

7月9日 米ツイッター社がヘイトスピーチ対策の一環で、「特定の宗教グループ」を非人間的に扱うツイートを削除していく方針を表明

7月18日 米ペンス副大統領が「信教の自由」に関する国際会合で、中国共産党は新疆ウイグル自治区で100万人以上のイスラム教徒を施設に強制収容していると非難

7月27日 ナイジェリア北東部ボルノ州の村々で、イスラム過激派ボコ・ハラムとみられる武装集団が葬儀の参列者らを襲撃、少なくとも65人を殺害

8月1日 オランダで、公共の場で顔を隠すことを禁じる法律(イスラム教徒の「ブルカ」禁止法)が施行、違反者には罰金150ユーロ(約1万8000円)を科す

8月1日 サウジアラビアが成人女性の国外旅行時に要した男性後見人の許可を撤廃

8月26日 中国政府公認「中国天主教愛国会」でローマ教皇が任命した司教が誕生、司教任命に関する中国とバチカンの暫定合意以来初

9月2日 女性によるスタジアムでの男性スポーツ観戦が禁じられているイランで、男装してサッカー観戦しようとして3月に逮捕された女性が裁判所前で抗議の自殺

9月27日 サウジアラビアが観光ビザの初の発給開始を発表、非イスラム教徒のメッカ入場は引き続き禁止

10月5日 インド北部ダラムサラにおける亡命チベット人代表の特別会議(3日~)で、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の継承法は本人が決めるとする決議を採択して閉幕

10月6日 サウジアラビアが、未婚の外国人男女の同室宿泊を許可すると発表

1010日 イランがイスラム革命(1979年)から40年経て女性のサッカー観戦を解禁

1015日 バチカンがスマートフォンと接続して祈りを捧げる様々な機能を備える「スマート」ロザリオを発表

1018日 アフガニスタン東部ナンガルハル州でモスクが爆破され、62人死亡

1022日 北アイルランドで同性婚と人工妊娠中絶を合法化する法律が発効

1024日 スペイン政府は国立慰霊施設「戦没者の谷」に埋葬されたフランコ総統を家族が眠る墓地に改葬

1026日 豪州北部のアボリジニの聖地ウルル(エアーズロック)の登山が禁止に

1027日 IS最高指導者アブバクル・バクダディがシリアで米軍の急襲により死亡

1031日 ISが新最高指導者にアブ・イブラヒム・アル・ハシミ・アル・クラシを指名

11月1日 西アフリカ・マリで軍拠点がISによる襲撃を受け、兵士ら54人が死亡

11月9日 インド北部アヨディヤの聖地の所有権を巡る訴訟で、最高裁はモスク跡地にヒンズー教寺院を建設し、イスラム教徒に代替地を与えるよう政府に命じる判決

1111日 トルコ、同国内で拘束したIS戦闘員約1200人を出身国へ送還開始

1112日 伊ベネチアが高潮に見舞われ、サンマルコ大聖堂が70㎝浸水

1125日 アルゼンチン西部メンドサの裁判所が、カトリック系聴覚障害者学校で児童に性的虐待を繰り返したとして司祭2人に禁錮42年と45年の判決

12月8日 サウジアラビアは、レストランなどに設けていた男女別入り口の撤廃を発表

1211日 インドで2014年末までに不法入国したバングラデシュ、パキスタン、アフガニスタンの出身者のうちヒンドゥー教、シーク教、仏教、キリスト教、ジャイナ教、ゾロアスター教の信者にインド国籍を付与する国籍法改正法案が成立、イスラム教の除外に抗議するデモが各地に拡大し、21日までに死者22

1217日 ローマ教皇フランシスコ、司祭による性的虐待被害の通報者や、性的虐待を証言する聖職者の守秘義務を廃止すると発表

1224日 火災で損傷したパリのノートルダム大聖堂が「1803年以来」216年ぶりにクリスマスミサを中止

1227日 韓国、良心的兵役拒否者に代替服務期間を3年、服務先を刑務所など大統領令が定める機関とする兵役法改正案を可決

1230日 中国広東省深圳市南山区の裁判所が、ゲノム編集で双子を誕生させた賀建奎被告に懲役3年、罰金300万元(約4700万円)の実刑判決

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[1] 『朝日新聞』2019年4月25

[2] 公安調査庁「極右過激主義者の脅威の高まると国際的なつながり」『国際テロリズム要覧2021https://www.moj.go.jp/psia/ITH/topics/column_03.html

[3] 「ウクライナ正教会、ロシア正教会から独立へ」『ナショナル・ジオグラフィック』 20181017日 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/101600240/

[4] 同上

[5] 2019年パブリック・オピニオン・ファンデーション調査

[6] 201910月ラズムコフセンター調査

[7] Religious Belief and National Belonging in Central and Eastern EuropeMay 10, 2017.

Pew Research Center.

https://www.pewforum.org/2017/05/10/religious-belief-and-national-belonging-in-central-and-eastern-europe/

[8] ここでは端折って簡潔に記したが、ロシア正教会の歴史はキエフ府主教区の遷座など複雑な経緯を辿っているため、詳しくは久松英二『ギリシア正教 東方の智』講談社(2012)や黒川知文『ロシア・キリスト教史―土着と服従と復活』教文館(1999)などを参照のこと。

[9] Kadri Liik,Momchil Metodiev,Nicu Popescu.Defender of the faith? How Ukraine’s Orthodox split threatens Russia May 30,2019. European Council on Foreign Relations.

https://ecfr.eu/publication/defender_of_the_faith_how_ukraines_orthodox_split_threatens_russia/

[10]  2018年の調査で、信者の比率は①12.8%、②28.7%、③0.3%で、23.4%が「単なる正教会信者」と回答した。Robert Person and Aaron BrantlyThe Ukrainian Orthodox Church is trying to withdraw from Moscow’s control. The Kremlin is not happy.The washingtonpost .Oct.31, 2018. https://www.washingtonpost.com/news/monkey-cage/wp/2018/10/31/the-ukrainian-orthodox-church-is-trying-to-withdraw-from-moscows-control-the-kremlin-is-not-happy/

[11] 行本尚史「教皇フランシスコとモスクワおよび全ロシアのキリル総主教の共同宣言」『クリスチャントゥデイ』2016年2月18https://www.christiantoday.co.jp/articles/19259/20160218/pope-francis-kirill.htm

[12] 『毎日新聞』2016年3月20

[13] 『産経新聞』2019年1月7日

[14] Vladimir RozanskijCyprus also recognizes the Ukrainian Church of EpifanyjOct.26,2020 AsiaNews

[15] 『読売新聞』2015年6月12

[16] SANKEI EXPRESS2015年6月13

[17] 『毎日新聞』2019年2月4日

[18] 『毎日新聞』2019年2月4日

[19] マリア・クララ・ビンゲメル「フランシスコ法王とカトリックの分裂」『フォーリン・アフェアーズ・リポート』2018年7月号

[20] 山田經三「教皇フランシスコについて」『上智経済論集』第 59 巻第 1 2

[21] 「ローマ法王、反共産主義の大司教を解任」「大紀元」20171014https://www.epochtimes.jp/p/2017/10/28918.html

[22] 『朝日新聞』デジタル2019年4月17

https://www.asahi.com/articles/ASM4K64KZM4KUHBI045.html

[23] 例えば、デフォー作『ロビンソン・クルーソー』では、漂流者ロビンソンが難破した船のなかで発見した3冊の「聖書」を「数冊の本」に変更。アンデルセン作『マッチ売りの少女』の「星が流れ落ちるとき、魂は神のもとに行く」は「星が流れ落ちるとき、人がこの世を去る」と変更。チェーホフ作『ワーニカ』では、教会で祈りを捧げる場面は割愛され、キリストという言葉も削除された。

「中国、小学校の教科書掲載の外国文学から『聖書』『神』などの文言削除」クリスチャン・トゥデイ 2019811

https://www.christiantoday.co.jp/articles/27104/20190811/china-removes-bible-god-christ-from-text-book.htm

[24] 『東京新聞』2019年1月9日

[25] 『東京新聞』2019年1月9日

[26] 『産経新聞』2018年8月15

[27] 『産経新聞』2018年8月15

[28] 『産経新聞』20181012日、『朝日新聞』20181012

[29] 「米紙、中国のウイグル弾圧内部文書を報道 習主席『情け容赦は無用』」産経新聞デジタル20191118

https://www.sankei.com/article/20191118-GJQL6OMJXRIOREIPVEFRJOIF5Y/

[30] 「新疆で『テロリスト』1.3万人逮捕 中国政府、批判に反論」AFP BB News2019319https://www.afpbb.com/articles/-/3216327

[31] 『毎日新聞』2019年7月22

[32] 『日本経済新聞』2019年7月20

[33] 『毎日新聞』2019年8月17

[34] 『朝日新聞』20191210

[35] Jon Emont「ウイグル再教育キャンプ、中国の批判封じのやり方 中国当局は「過激主義防止の善意の取り組み」と主張」The Wall Street Journal 2019 12 12

https://jp.wsj.com/articles/SB11472337774144154450204586073130380042272

[36] Andreas Harsono, Maya WangIndonesia’s Silence over XinjiangJan.31 2020 NewNaratif  https://newnaratif.com/indonesias-silence-over-xinjiang/

[37] 『東京新聞』2019年2月13

[38] 「ウイグル族がイスラム教国から強制送還されている 迫りくる中国の手に不安」CNN 2021年6月10日 https://www.cnn.co.jp/world/35172174.html

[39] 国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、署名国は、イギリス、日本、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、アイスランド、アイルランド、ラトヴィア、リトアニア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイスの22カ国。「中国は「ウイグル族の拘束やめよ」  22カ国が共同書簡で非難」BBC News Japan 2019年7月11https://www.bbc.com/japanese/48946124

[40] 『東京新聞』2019年7月22

[41] 『東京新聞』20191031日、『産経新聞』20191031

 中国支持派は、ロシア、パキスタン、エジプト、ボリビア、コンゴ民主共和国など。

[42] 「中国、映画興行収入が世界2位」『日本経済新聞』電子版201317

[43] 『日本経済新聞』2021320

[44] 「リチャードギア、反中国発言でハリウッド追放」シネマトゥデイ2017年4月24

https://www.cinematoday.jp/news/N0091201

[45] 『読売新聞』201811月6日

[46] 14世ダライ・ラマ法王発見の経緯と輪廻転生制度」ダライ・ラマ法王日本代表部事務所https://www.tibethouse.jp/dalai_lama/reincarnation/

[47] 『日本経済新聞』2018年4月24

[48] 「ノートルダム再建寄付金1000億円超、大半まだ受け取れず パリ大司教」AFP BB News 2019516https://www.afpbb.com/articles/-/3225269

[49] 『朝日新聞』20191120

[50] 『読売新聞』20191124

[51] 『カトリック新聞』2019年3月24日、“CATHOLIC CHURCH STATISTICS Agenzia Fides,Oct.20,2019、“Frequently Requested Church Statistics-World Data Over TimeCenter for applied research in the apostolate, https://cara.georgetown.edu/frequently-requested-church-statistics/

[52] 『カトリック新聞』2019年3月24

[53] Rose Gamble,Vatican women's magazine condemns sexual abuse of nuns by priests The Tablet, Feb.1,2019.

https://www.thetablet.co.uk/news/11319/vatican-women-s-magazine-condemns-sexual-abuse-of-nuns-by-priests

[54]  Jamie Manson, The quick and wondrous radicalization of Lucetta Scaraffia

National Catholic Reporter,Mar. 29, 2019

https://www-ncronline-org.translate.goog/news/opinion/grace-margins/quick-and-wondrous-radicalization-lucetta-scaraffia?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=op,sc

[55] 「少年への性的虐待、バチカン元幹部に逆転無罪 豪最高裁」AFP BB News 202047https://www.afpbb.com/articles/-/3277511

[56] Ryan P. Burge Evangelicals Show No Decline, Despite Trump and NonesChristianity Today,Mar.21,2019

https://www.christianitytoday.com/news/2019/march/evangelical-nones-mainline-us-general-social-survey-gss.html

[57]  Jeffrey M. Jones,“Many U.S. Catholics Question Their Membership Amid Scandal” Gallup Mar.13, 2019https://news.gallup.com/poll/247571/catholics-question-membership-amid-scandal.aspx?version=print

[58]Lydia Saad,” Catholics' Church Attendance Resumes Downward Slide” Gallup,Apr. 9, 2018

https://news.gallup.com/poll/232226/church-attendance-among-catholics-resumes-downward-slide.aspx

 ※ギャラップの調査では、全米のプロテスタントは1955年(71%)から20142017年(47%)までに大幅に減少しており、カトリックは24%から22%と同程度である。

[59] America’s Changing Religious Landscape Chapter 2: Religious Switching and IntermarriagePew Research Center, May 12, 2015

https://www.pewforum.org/2015/05/12/chapter-2-religious-switching-and-intermarriage/#groups-most-heavily-composed-of-religious-switchers

[60] Ryan BurgeThe Nones Aren’t As Politically Diverse As You Would ThinkReligion in Public,May15,2019 

https://religioninpublic.blog/2019/05/15/the-nones-arent-as-politically-diverse-as-you-would-think/

[61] Dalia Fahmy” Among religious ‘nones,’ atheists and agnostics know the most about religion” Pew Research Center,Aug.21,2019

https://www.pewresearch.org/fact-tank/2019/08/21/among-religious-nones-atheists-and-agnostics-know-the-most-about-religion/

[62] Why America’s ‘nones’ don’t identify with a religion Pew Research Center, Aug. 8, 2018  https://www.pewresearch.org/fact-tank/2018/08/08/why-americas-nones-dont-identify-with-a-religion/

[63] 『キリスト新聞』2019年5月21日では、吉岡恵生・シカモア組合教会牧師がインターネット利用者の増加と利用方法の多様化を指摘している。

[64] 『キリスト新聞』2019年4月21

[65] About Three-in-Ten U.S. Adults Are Now Religiously UnaffiliatedPew Research Center, Dec. 14, 2021

https://www.pewforum.org/2021/12/14/about-three-in-ten-u-s-adults-are-now-religiously-unaffiliated/

[66] 『クリスチャン新聞』2019年3月31

[67] 「英国国教会、日曜礼拝を廃止か 一部教会で礼拝できず」CNN 20161023https://www.cnn.co.jp/world/35090961.html

「英国国教会、教会法を改訂 全教会での日曜礼拝実施義務を廃止」クリスチャン・トウデイ 2019226日 https://www.christiantoday.co.jp/articles/26610/20190226/cofe-drops-rule-every-church-holds-sunday-services.htm

[68] 『キリスト新聞』2015年2月14

[69] 『中外日報』2018年1月17

[70] Curtice, J., Clery, E., Perry, J., Phillips M. and Rahim, N. (eds.) (2019),

“British Social Attitudes: The 36th Report” The National Centre for Social Research

[71] Professor Alexis Jay OBE,Professor Sir Malcolm Evans KCMG OBE,Ivor Frank,Drusilla Sharpling CBE,“The Anglican Church Investigation Report October 2020” Independent Inquiry Child Sexual Abuse,Oct.2020

[72] 「ドイツの教会で信者離れ進む ミサ出席のカトリック教徒は過去最低」『キリスト新聞』2020年7月13日 http://www.kirishin.com/2020/07/13/44060/、『キリスト新聞』20121013

[73] 『キリスト新聞』2015年2月14

[74] 「独カトリック教会、子どもへの性的虐待3766件 過去68年間で」CNN 2018年9月13日 https://www.cnn.co.jp/world/35125561.html

[75] 『中外日報』2020年7月17

[76] 『中外日報』2020年7月17

[77] 『キリスト新聞』20121013

[78] 「ドイツで「モスク税」導入の動き、外国資金の影響阻止へ」AFP BB News

2019513日 https://www.afpbb.com/articles/-/3224674

[79] Religion in Australia, 2016Autsralian Bureau of Statistics, Jun.28,2017

https://www.abs.gov.au/ausstats/abs@.nsf/Lookup/by%20Subject/2071.0~2016~Main%20Features~Religion%20Article~80   

Religion in Australia, 2016 Census data summary" Autsralian Bureau of Statistics, Jun.28,2017 https://www.abs.gov.au/ausstats/abs@.nsf/Lookup/by%20Subject/2071.0~2016~Main%20Features~Religion%20Data%20Summary~70

[80] 『日本経済新聞』2019年1月23日夕刊

[81] 『東京新聞』2017年6月28

[82] Cultural Diversity in Australia, 2016 Autsralian Bureau of Statistics, Jun.28,2017

https://www.abs.gov.au/ausstats/abs@.nsf/Lookup/by%20Subject/2071.0~2016~Main%20Features~Cultural%20Diversity%20Article~60

[83] Stephen Bullivant,Miguel Farias,Jonathan Lanman,Lois Lee “Understanding Unbelief

Atheists and agnostics around the world Interim findings from 2019 research in Brazil,China, Denmark, Japan,the United Kingdom, and the United States”May 28,2019

https://research.kent.ac.uk/understandingunbelief/wp-content/uploads/sites/1816/2019/05/UUReportRome.pdf

[84] 『朝日新聞』20181119

[85] Co-op, British Red Cross Trapped in a bubble An investigation into triggers for loneliness in the UKOct.2016  https://www.co-operative.coop/campaigning/loneliness

[86] 『東京新聞』2014年4月24日夕刊