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研究の三本柱

1.こころと社会

地縁的・血縁的共同体が緊密に機能しなくなり、次世代育成や世代間継承が滞り、自殺者の多さや孤独死がメディアにもしばしば取り上げられています。絆の弱まりや倫理の低下として片付けられることが多いのですが、従来と異なる相互扶助を考えていく必要があるのではないでしょうか。

上記の関心のもと、現在二つのプロジェクトを進めています。


1. 比較瞑想研究

現代社会において、非宗教者が行う瞑想の意義について研究しています。2010年には、葛西研究員の『現代瞑想論』が春秋社より刊行されました。瞑想は宗教者のみの個人的な実践ととらえられがちで、またそれにとどまることが多いのですが、在俗者にとっても、混沌とした社会の中で価値観を再確認するためのツールとして役立ちます。

2. 薬物依存問題の啓蒙

グローバルな人の往来や経済成長は、生活の利便性を向上させただけでなく、危険な薬物などの流入・使用ももたらしています。依存症という近代特有の病いに対処するために、病んでいる個人を新しい共同体に結びつける活動が注目されています。痛みを分かち合う共同体をとらえた研究、葛西賢太『断酒が創り出す共同性』(世界思想社、2007年)につづき、当事者の知識向上のための啓発モデルを研究しています。