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日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

COOL JAPAN「縁起」

2019/01/06 (Sun) 18:00~18:45 NHKBS1
キーワード
縁起 神社
参考
番組公式
 この番組では、日本の文化をスタジオの外国人ゲストと共にみていきながら、その魅力を再発掘していく。今回のテーマは日本の縁起。そこに外国人が驚く“COOL JAPAN”は見つかるのか。
 そもそも縁起とは仏教用語で因縁生起と言い、すべての物事は因と縁から起こるのだという。因は直接的な関係を引き起こすが、縁は間接的なので実際に起こるかはわからない。だからこそ縁起担ぎをして良いものをもたらそうとするのだと番組では言う。
 まずみていくのは幸運スポットだ。恋愛成就にきくとSNSで広まったハートマークの扉が話題の東京大神宮や、宮司が作った足踏み健康ロードや運試し輪投げがある川越熊野神社が紹介された。
 実際に訪れたナタリーさんは、「特に気に入ったのは神社のハートがラッキースポットになっていること。私が一番ステキだと思うのは日本人の柔軟性なの。ラッキーだと感じたら信じる。そういう柔軟な考えが好きなの」と話した。また、厳格なイメージのある神社で宮司が幸運スポットを作ったり、参拝者が勝手に運気アップを信じて写真を撮る様に驚く声も上がった。
 なぜ日本人は「幸運スポット」をたくさん作りたがるのだろう?と司会者が投げかけると、「日本人は忙しい生活を送っているから、充電したいんじゃないかしら」(スイス)、「精神的なよりどころを求めているからだと思う」(スーダン)との声が上がった。スーダンでは、一日に何度も、最低でも週に一度はモスクに行くのだという。
 続いて縁起行事が紹介された。千葉県の山﨑さん一家のお宅では、満一歳の誕生日を迎えた息子に一升=1.8キロのお餅を背負って歩かせる、一升餅セレモニーが行われた。一升には、一生食べ物に困らないように、丸い形には一生円満という願いが込められているのだそうだ。日本には安産を願う帯祝いやお宮参り、お七夜、お食い初め、初節句、ひな祭り、七五三、成人式と子どもの成長を祝う行事がたくさんある。山﨑さんは、縁起行事は(自分が)注がれた愛情をまた(子どもに)注いでいくという意味で大切なことだと考えているという。
 最後に茶柱が紹介された。本来茶柱はめったに立つことがないが、カプセルを入れると必ず茶柱が立つお茶が開発され、縁起が良いと話題を集めている。これは本当の茶茎ではなく、お茶の粉を固めて作られており、言わば作られた幸運である。必ず立つと知っていて喜ぶことに対して、外国人ゲストたちはどう思ったのか。
 「それは茶番だわ!」(イギリス)、「人工的に作られたものでも幸運を分かち合えるのはステキだよ」(ベネズエラ)など反対・賛成それぞれの意見が上がったが、それぞれが“COOL JAPAN”を見つけられたようだ。
 今よりも豊かでなく、一日を生きていくのに必死だった当時、縁起は誕生した。たとえ迷信でも信じることでいいことがあると思いたかったのだ。本来縁起とは、私たちの小さな願いを身近なものに託すささやかな祈りなのである。
 日本人の人生はまさに縁起のオンパレードだ。たしかに最近は楽しいから、絆を確かめられるから、といった安直な考えが独り歩きしているのかもしれない。しかし親が子を想い、他が他を想う、そんな温かな想いが込められていることも忘れてはならないと感じた。