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クローズアップ現代+「急増する“墓じまい”スマホで墓参り?新たな弔いの形とは」

2018/04/09(Mon) 22:00~22:25 NHK総合
参考
番組公式

最近墓じまいが急増している。墓じまいとは墓から先祖代々の遺骨を取り出して更地に戻すことを言う。背景には、一人っ子で配偶者も子どもなく墓を引き継ぐ人がいない、故郷を離れて暮らす人が自宅近くに墓を移せない、血縁関係が薄れている、などの状況がある。

しかし、実際に墓じまいをするとなると、まず墓がある市区町村に行って改葬許可証をもらわなければならない。さらにその墓が寺にある場合は、住職に印鑑をもらう必要がある。そのとき離檀料というお布施を要求されトラブルになるケースもある。かといって墓を放置しておくと、無縁墓になって荒れてしまう。そういった煩わしさを解消する様々なサービスが登場している。

墓石の販売を行う大手石材店では近年墓じまいの相談が急増し、昨年はおよそ100件の相談があったという。そこでこの石材店は、手間のかかる墓じまいの代わりに「墓じまい要らずの墓」として樹木葬を提供している。最大6人まで入ることができ、最後の1人が亡くなってから13年後に石材店が墓じまいをしてくれる。最終的に遺骨は納骨堂へ移され、毎月の法要で手厚く弔われるという。

電話一本で墓じまいを代行してくれるというサービスもある。墓じまいをしたい墓の場所を電話で伝えると、代行会社が利用者に代わって墓を管理する寺や霊園との交渉を進めてくれる。さらに書類を揃えて行政への許可をとりつけ、墓石を撤去する解体業者への手配まで行ってくれる。

一方で、墓じまいをした人たちへ向けたサービスもある。墓はなくなっても、先祖を弔う気持ちは大事にしたい。静岡のある寺では、敷地の一角でスマートフォンをかざすと、墓があった故郷の風景や墓じまい前の墓の写真が画面に映し出される。

他にも、生前メッセージや動画を残しておき、死後家族や友人がそれを見ることができるというサービスがある。墓という形は必ずしも必要ないが、墓がなくなると息子が自分を偲ぶ機会や場所を失うのではないか。そんな思いからこのサービスを利用した女性は、「自分は愛されていた、幸せなときがあったと思い出してほしい」と話す。

今、家族の形というものが大きく変わりつつある。核家族化が進み、子どもがいない家庭も増えてきている。だからこそライフスタイルの変容によって弔いの形は変わりつつある。けれども死者を思う気持ちは変わらない。これから先の将来、弔いの形はどのように変化していくのだろうか。