文字サイズ: 標準

宗教情報PickUp

テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

報道の魂「僧侶公募の時代~年金世代が救うお寺と地域」

2015/02/23 (Mon) 1:45~2:15 TBS
キーワード
無住寺、定年後、住職、経営と哲学、社会問題の解決
参考
番組公式
 臨済宗妙心寺では今、定年後の年金世代に向けて住職のリクルートをしている。全国で三千四百ヵ寺ほどの妙心寺派の寺院のうち、千ヵ寺ほどが住職が常駐しない無住寺となっている。地方過疎化の影響で、限界集落ないしは集落自体がなくなり、お寺だけが残っているような所もあり、一人の住職が何カ寺も兼務してなんとか形を保っている状態である。
 こうした事態の中、今新しい住職のモデルケースとして注目を集めているのは、長野県千曲市の開眼寺住職・柴田文啓さん。大学の工学部を卒業して大手電機メーカーに入社、海外法人の社長としても活躍した方で、定年後に禅の世界に入門した。檀家制度は確かにお寺の経済基盤ではあるが、年金と併用すれば小さなお寺の維持はできるし、企業の社員研修も十年ほどやっており、活用の幅を広げることが今後の寺に求められると、柴田さんは語る。自身の経験からも、企業倫理や経営に宗教や哲学が必要であり、とても通じるものがあるという。
 こうした柴田さんの例がモデルケースとなり僧侶になりたいという人が増えてきた。柴田さん自身も遠方の東京でシニアの方中心にリクルートする等、企業での経験を生かしたプロジェクトを実施しており、妙心寺派も柴田さんの考えを基にシニア専門の修行場も開設している。
 ただ、お寺も変わる必要があると柴田さんは語る。檀家さんがお寺にお世話になる時というのは、現在ではお葬式と法事だけになった。昔は色んな相談を受けていたわけで、心の問題を多く抱える現代において、不登校の子供達を集めて学習面や精神面での支援を住職と共に進めるようなNPOを立ち上げる等、そうした社会問題の解決の拠点としてお寺を使っていく事が求められるという。
 最後に番組は、年金世代がお寺だけでなく地域社会を救う切り札になるかもしれない、として結んだ。