文字サイズ: 標準

宗教情報PickUp

テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

わがまま!気まま!旅気分「若狭と奈良をつなぐ命の水をめぐる旅」

2014/05/24 (Sat) 11:00~11:55 BSフジ
キーワード
水、文化、祈り、継がれる、感謝
参考
番組公式

若狭と奈良をつなぐ水への祈りを追う

 春の訪れを告げる奈良東大寺二月堂のお水取りに先がけて、福井県小浜市では毎年3月2日に若狭神宮寺で「お水送り」が行われている。今年で創建1300年を迎える神宮寺であるが、その1300年祭のプロジェクトとお水送りの神事の一日を追いながら、現代へ続く伝統的な、人々の水への敬いと祈りへの想いを探る。

お水送りとお水取りの歴史

 奈良時代から始まったとされるお水送りの歴史。若狭に伝わる言い伝えによれば、二羽の鵜が遠敷川の上流・鵜の背から地中に潜り、二月堂に飛び出たとされ、この二か所は神聖な水源となった。この言い伝えにちなみ、若狭で形を変えながら続いているのが、お水送りの儀式である。若狭は奈良からみたら子の刻、すなわち北方にあたり、すべての始まりを意味している。
 平城宮の跡から出土した木簡には、若狭の地名が多数書かれており、多くのモノや文化が行きかったが、特に塩が若狭から奈良へ送られていたことがわかった。これは、階級問わず当時の奈良の人々の命を支えていたということであり、若狭と奈良を繋ぐお水取りの水は、そんな若狭から送られた命をつなぐ賜物を象徴しているのかもしれない。また、お水取りの儀式で二月堂本尊に供えられる若水には、国の平和、繁栄、五穀豊穣への祈りが込められているのかもしれない。

現代に継がれるお水送りと水への敬い

 お水送りでは、現在規模が拡大され地元の人々のサポートによって成り立っており、結界づくりや、松明づくりも地元の人たちによって準備される。参拝者は、自らの願いを込めた松明をもって鵜の背まで運ぶなど、松明行列としてお水送りに参加することもできる。
 神宮寺創建1300年祭において、碧(あお)の祈りをテーマにしたプロジェクトを手掛けるのが、小浜市出身の華道家、前野博紀。植物もあらゆる生命も水と光なしでは生きられないように、これらは命をつなげていくエネルギーであり、そうした当たり前にあって目に留めにくいものほど生きるには非常に重要なものであるということを見に来てくれた人々に少しでも伝え、いま一度万物への感謝を改めて感じていただきたい、と前野氏は語った。
 最後に、今も昔も水や自然の恵みに感謝し、天に祈りをささげる場である小浜には、自分を見つめなおす場所が隠されている、として番組はまとめられた。