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テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

クローズアップ現代「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」

2014/05/14 (Wed) 19:30~19:56 NHK総合
キーワード
宗教離れ、不活動宗教法人、詐欺、解散や合併、宗教心
参考
番組公式

 出家詐欺の存在

 今、出家詐欺が、経営難の宗教法人の存在と相まって、水面下で広がっている。多重債務者が、出家して法名を得る儀式である得度を経て、別人になりすまし、新たに住宅ローンを組むなど、ブローカーと協力し、多額の融資をだまし取るという手口。危機感を強め、宗教界と行政は対策に急いでいる。慶應義塾大学教授 中島隆信氏とNHK京都放送局・記者 法花直毅氏をゲストに、知られざる出家詐欺の真相に迫る。

 発生背景

 近年、住職の跡継ぎ不足とそれによる住職の常駐していない寺の増加、都市部では金銭的な問題のため葬儀も簡略化するなど、人々の宗教離れによって厳しい経営を迫られるお寺や、お寺はあっても実態のない不活動宗教法人も増え続けているという。こうした背景のもと、お坊さんに一般人の僧籍の取得の話を持ち掛け、新たに住宅ローンなどの多額の融資を騙し取るという詐欺が問題になっている。個人情報保護のため金融機関側も身元調査には慎重になること、そして、出家して仏門に入るなどの神聖な行為は悪用されないであろうという人々の認識を逆手に取った巧妙な手口といえる。しかし、第三者のチェックもなしに、法名を得るための儀式が成立するのは、普通の宗派、ある程度名の通った宗派ではまず考えられないことでもある。

 対策が始まる

 今後様々な犯罪に悪用される可能性を危惧し、自治体や宗教界は対策に乗り出した。京都府では、不活動宗教法人の改ざんや合併などに向けた手続きを進めているが、多くの場合、宗教法人関係者と連絡がつかなかったり、同意を得られなかったりで、なかなか思うように進まない。信教の自由を尊重し、工夫しながらなんとかやっているという。京都に本山を持つ臨済宗妙心寺派は、不活動になりうる寺を調査した上で、解散や合併を勧めることにした。幾度となく檀家のもとに足を運ぶこともあり、財産整理などの法的手続きにも時間はかかるが、徐々に解散を進めている。みんなが正常な判断を出来るうちに、何とか法人の問題や檀信徒の方々の心の問題を整理しながら共に進んでいくそうだ。

 宗教法人の悪用をどう防ぐか

 信教の自由により、宗教法人というのは法律が過度に介入するのではなくあくまで檀家さんや住職達の自由意思に基づくもの。ただ、放置していれば住職もいなく、檀家さんも高齢になることで、解散の意思決定すらできないという状況になってくる。葬儀や法事主体ではなく、日本人のなかの仏教に帰依する心や仏像に手を合わせるという習慣がまだ残っているうちに、お寺がもっと信者さんに働きかけ、国民の宗教心を高めてほしい。そうした仏教の教えを伝えるという所に立ち返る必要があり、これはある種のチャンスともとらえられる、としてまとめられた。