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いのちを語る #20「為末大が鎌倉・円覚寺を訪ねる 後編」

2013/08/20 (Tue) 19:24~19:54 BS朝日
キーワード
いのち、死、人間の怖さ、生きている実感、感謝
参考
番組公式
 元陸上競技選手の為末大氏が北鎌倉・円覚寺を訪ね、横田南嶺老大師と対談する。様々な人と出会い、いのちについて考えさせられてきた二人の経験を口切りに、人の心やいのちについて語り合う。前編の続きであるが、それぞれ独立しているので、後編からでも見ることが出来る。
 横田氏が過去に祖父の死や親友の死をみてきたという話から、死をトピックにして社会の自殺や殺人について対談は進んだ。自殺については、人間は頭の考えだけでいきているのではなく、死にたいと考えているときでも、手や足、もっと言えば60兆の細胞は必死に活動し、生きようとしている。一時の考えによって生きることを否定するのは残念であるが、同時にそれを伝えることの難しさもあると横田氏はいう。為末氏も、現代の人々の、命に対する感覚、あるいはリアリティが希薄になっていると語る。また、無差別殺人を犯した人の手記を読んで感じた犯人の強いエゴ、認めさせたいという心理が、アスリートである自分とも共通するという。横田氏は、人間の心は皆同じであるので、自殺や殺人をする人を特別視することなく、人間の怖さを知ることが大事であると語った。
 最後に、横田氏がある一般のがん患者から学んだ、生きている実感について語られた。そのがん患者は、手術で失った身体の機能のことや再発への不安について悩むのではなく、今、自分は生きているという紛れもない事実に感謝すること、そう実感できることが真理であるとわかったという。考え込んでいる人こそ、毎日の食事に感謝し、ゆっくり呼吸してみる。そして自分が今生きていること、そしてそのありがたさを実感し、感謝していくことが大事。そうした一日一日の積み重ねがいのちになっていくのではないか、として今回の対談はまとめられた。