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日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

旅のチカラ「“死”が与えてくれる力を探して~高橋源一郎 イギリス~」

2013/06/19 (Wed) 21:00~22:00 NHK BSプレミアム
キーワード
死、生、豊か、贈物
参考
番組公式
  息子の闘病の過去をきっかけに、文芸評論家・高橋源一郎氏が訪れたMartin House(マーティン・ハウス)での一週間を追う。マーティン・ハウスとは、イギリスにある、世界で初めての子どもホスピスであり、不治の病を抱える子どもと親が、限りある命と向き合い、豊かに生きるための場所である。子どもホスピスという言葉のイメージとは裏腹に、家庭的で子どもの成長の場でもある。そこで当の子どもたちとその家族、スタッフたちはどんなことを感じているのかを知り、死というものから生きることを探る。
  高橋氏は、いくつかのインタビューで、ホスピスに通う15歳の子どもから、子どもだけじゃなく周りの大人も前向きに生きることが大事であり、周囲がハッピーであるなら子どももハッピーであることを教わり、また、病気の子どもの親からは、彼らが経験する、死と対峙していく難しさについて知った。中には、子どもホスピスは、動物セラピーや音楽、アートを通じて楽しい時間を提供し、天に召された子どもとの時間だけでなく死でさえも美しい思い出にしてくれた、と話す人もいた。さらに、マーティン・ハウス設立メンバーの一人であり、多くの家族を見続けたレノア・ヒル氏との対談では、「この施設では、深い苦痛から大きな喜びまで、様々な感情を経験することになる。ここにいる子どもたちは、私たちの社会がより豊かなものとなるように、神様が与えてくれた贈物である。」と聞いた。
  おわりに、こうした多くの人との出会いを通して、高橋氏は、以下のように旅をまとめる。マーティン・ハウスは残された人がより良く生きられるように創造していく施設であり、子どもたちとの時間は私たちの心をより豊かにしてくれる。子どもホスピスがしていることは、聖人君子のような特殊なことではなく、周囲の人に助けられて生きている私たちの誰もが参加すべきものでもあると。

Martin House公式サイト:http://www.martinhouse.org.uk/