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テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

スパモク!!「お坊さんがズバリ!解決!紳助の駆けこみ寺」

2011/05/12(木)19:00~20:54 TBS
参考
番組公式
 この番組は5人の僧侶が一般人やゲストの芸能人の悩み相談に乗るというバラエティー番組の第二弾である。司会は島田紳助。出演者は真宗大谷派の僧侶で元女子アナウンサーでもある川村妙慶氏。俳優業を営みながらも仏門に入り、昨年僧侶になったばかりの新人和尚の大西耕治氏。東大出身で、イライラや不安を練習で解決できると説く著書『考えない練習』(小学館)などがベストセラーとなった月読寺住職で理論派の小池龍之介氏。元暴走族で、家庭の問題がある子どもを無償で預かり、1996年から2010年までに769人もの子どもを更正させたことで有名な浄土宗西居院住職の廣中邦充氏。高野山で修行を積み、オネェ系の口調で有名な祥炎山不動院住職の水無昭善氏である。
 相談は全部で11で、まずは、38歳会社員のものが取り上げられた。彼には大学時代からの親友がおり、その親友は事業に失敗し、2千万円の負債を抱えてしまう。そこで、その親友に300万円貸してもらえないかと頼まれたが貸すべきか貸さないべきか迷っている。それに対する5人の僧侶の見解は分かれ、ただ1人だけ川村妙慶氏は貸しても良いと答えた。川村氏は親鸞の説いた「雑毒の善」について述べた。雑毒の善とは「歓の心」が混じる善は本当の善ではないという教え。具体的に言えば「自分は良いことをしてやったんだ」という考えが混じる善のことで、そういう事でなければ行ってよいと言う。そのような考えを含みながら行われる善は毒が混じっていると言うことなのだそうだ。また義援金と義捐金の言葉の違いも取り上げた。前者は「してあげた」という毒が混じったお金、後者はお金をそこに「捐(す)てる」というお金だ。つまりお金を「貸してあげる」のではなく、「捐てる」という気持ちで貸すのであれば良いと川村氏は考えるのだ。貸すべきではないという廣中氏は「お金は貸した方はいつまでも覚えているものだが借りた方は忘れてしまう、それによって心の不平等が生まれてしまう。本当の親切とは断ることの勇気である」と述べた。
 また35歳会社員男性から、「付き合ってる恋人にプロポーズをしたらその場で初めて相手が実はバツイチで子持ちだったと明かされ、相手はズルくはないか?」と言う相談もあった。これに対してまたもや川村氏ただ1人がズルいという考えを示した。その際に今度は川村氏は仏教で説く「身口意の業」について取り上げながら説明した。「身口意の業」とは悪い行い、悪い言葉、悪い考えのことであり、この場合は、その恋人は嘘をついたという口業を犯しているという。しかしこの嘘をついた恋人も悪いがそれは関係性に起因するものなので2人で話し合う必要があると川村氏は言った。ズルくないという考えである小池氏は、彼女が言えなかったのが彼には寛容性がないと思ったのが原因だとした場合、「僕だから言えなかったんだね」という彼の気付きがあればよいのではないかと述べた。
 番組の最後にはゲストからの質問で東日本大震災の被災者に対してどのような励ましをすればよいかという質問も取り上げられた。実際に現地に言ってボランティア活動をしたという廣中氏は現地の人にとって「がんばろう」と声をかけることはとてもストレスになると述べ、「がんばろうね」ではなく「がんばっているね」と笑顔とともに声をかけてあげることが大切と言った。
 この番組は現代人の様々な悩みに対して僧侶たちからの多様なアドバイスを提示しようと試みる今までになかったものだと思う。司会の島田紳助も言っていたが現代は科学技術などが発展し物理的に満たされた世の中になってきた。しかしそれとは逆に人々は多くの悩みを抱え心理的に満たされていない。そういう人たちへの救済をこの番組は提案しているようだ。

関連するサイト一覧
川村 妙慶公式サイト:http://homepage3.nifty.com/sairenji/
小池 龍之介の運営するカフェ「iede café」と月読寺の公式サイト:http://iede.cc/
浄土宗西居院の公式サイト:http://saikyoin.com/
祥炎山不動院の公式サイト:http://www.shoenzan.com/