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テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

「ハートをつなごう」自死遺児<2>

2010/11/25(木)20:00~20:30 NHK
キーワード
自殺、自死遺児
参考
NPO法人「自氏遺族支援ネットワークRe」
NHKハートをつなごうHP
 24日放送の「ハートをつなごう」(*1)にひき続き、自死遺児がテーマである。今回の放送では家族を自殺で亡くした人達を支援する活動をしている山口和浩氏(29)に密着した。山口氏はNPO法人「自死遺族支援ネットワークRe」を設立し代表を務めている。また大学時代には遺児の仲間と『自殺って言えなかった。』(サンマーク出版)という手記も出版している。山口氏が立ち上げた自死遺族支援ネットワークReは、長崎で家族を自殺で亡くした人達の会合を開くなどの活動を主にしている。
 3年前に山口氏は仕事を1年間休職して全国各地の遺族を尋ね、その声を聞いて回った。山口氏は特に親を亡くした子供との対話を大切にした。そこで山口氏が改めて実感したことは「多くの子供たちは周囲の視線に遠慮して本当の気持ちを吐露できないでいるのではないか」「そしてそれは自分が感じていたものと同じではないか」ということだ。山口氏は親を亡くした子供の支援には特に力を入れている。そこでは心の中に沸き起こる怒り、悲しみ、戸惑いなどの感情を押し殺さないでほしいというメッセージを子供に伝えることにしている。
 ある長崎の遺族たちの会合に、2年前に夫を亡くした女性が参加した。その女性は17歳の娘が今も心に大きな傷を残しているのではないかと悩んでいた。その娘は父親が死ぬ前に自分が発見して防ぐことができたのではという自責の念に駆られているという。山口氏がその娘に実際に会って話してみたところ、彼女は周りの大人や友人から慰めの言葉をかけられたことが心の重荷になっていたという。山口氏は、「遺族とはこんなもんだろう」という周囲の期待どおりに遺族が演じなければいけないような状況が存在していると指摘する。山口氏は彼女と話をして「親を亡くした子供といっても思いは様々で、その人が今生きているありのままの姿を受け止めてほしい」という気持ちをさらに強くしたそうだ。
 スタジオでのインタビューで山口氏は「自分の気持ちが異常なものではないかと家族を亡くした子供たちは思いがちだから、その湧き上がってくる気持ちはごく自然なものだということを伝えたい。またそれを周りの大人にも知ってもらいたい。そのためには大人は自分のイメージを相手に押しつけないことが大切」と語った。また、「配慮はするけれど遠慮はしないということが大切で、きちんと正面から家族を亡くした子供たちと話していく必要がある」とも付け加えた。
*1.11月24日に放送された内容については、第一回目のレビューを参照ください。