フランス留学の体験から
参考
宗教情報センターでは、専門の研究者の方にエッセイやコラムを寄稿いただき、また研究員がレポートを執筆していますが、今回は趣向を変えて、インタビューです。
「フランスで神学・哲学を探究する」というテーマで、今回は研究者の卵としてパリで奮闘中である山田智正さんに、話を聞かせていただきたいと思います。
若い方にお聞きするのは、(1)留学を含めた「海外で学ぶ」ことへの誘い、(2)学ぶ側から見た最新情報、(3)研究の最先端にあこがれながら学ぶ 熱気や感性、これら三つに触れたいからです。経験豊かな研究者とはまた違ったみずみずしさに触発されて、他のことを学ばれている方・他の分野で努力されている方にも刺激になればと思います。
語り手の山田智正さんは、哲学者でありキリスト教徒であるポール・リクール (1913-2005)の思想を研究するために渡仏しました。リクールは二十世紀のフランスを代表する哲学者の一人といえるでしょう。悲しみや苦しみの中に沈むとき、言葉の力にそれらを乗り越える働きがあり、とりわけ、「物語」の形では自己自身の新たな側面を発見させてくれるということが重要だということは、昨今広く知られるように注目されるようになりましたが、たとえば、リクールは物語という形が用いられてきた歴史をたどった研究で広く知られています。彼の仕事は非常に広範囲にわたるので、後ほど山田さんの関心に絞って紹介してもらいましょう。
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