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日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

京都・国宝浪漫「国宝 十一面観音像と一休さんの真実~観音寺・一休寺」

2014/10/16 (Thu) 22:00~22:54 BS11
キーワード
十一面観音立像、現世利益、一休さん、善く生きる、形にとらわれない
参考
番組公式
 今回訪ねるのは、京都と奈良の都に挟まれた京都府南部・京田辺市にある、二つの寺院、大御堂観音寺と酬恩庵一休寺である。番組では、里山にひっそりと佇む観音寺に本尊として安置される国宝・十一面観音立像の魅力と、一休寺の歴史的文化財やとんちの逸話でおなじみの一休さんの人物像に迫る。
 里山の田んぼの間を真っ直ぐに通る道を経たところに大御堂観音寺はある。かつて奈良・興福寺の別院として栄えたが、幾度とない火災で今では本堂のみが残る。ここには、般若絵心経という、江戸時代に字の読めない人のために、それぞれの字を絵で置き換えて書かれた般若心経の文が保存され、親しみやすい歴史が感じられる。また、二月には、東大寺二月堂の*お水取りの儀式(十一面観音悔過法)の松明に使われる竹を担いで運ぶ行事、二月堂竹送りが催される。本堂に安置される十一面観音立像は、*木心乾漆で作られ、大きさ173㎝(頂上仏を含めると184㎝)、重さ66kgという等身大サイズの、奈良時代を代表する国宝である。十一面観音様に懺悔しお願いすることによって、国家安穏、国民具楽、五穀豊穣などの現世利益、今生きている間の願い事を祈るのだ。頭上にあるそれぞれ異なる表情をした小さな十一の仏面は、あらゆる人々をなだめたり、励ましたりしてくれるという。
 次に、一休禅師ゆかりの寺、酬恩庵について重文の庫裏や方丈庭園などの数々の文化財を紹介する。中でも重文で一休禅師木造には、一休禅師自身の髪と髭が植え付けられたとされ、反骨心が強く形にとらわれない一休禅師そのものを表したとされる。一休禅師はとんちで有名であるが、当時はお坊さんでありながら、飲酒をしたり歓楽街に入り浸ったりなど、破天荒なふるまいで有名であった。しかし、その行動には、当時の堕落した仏教界に対する反抗の意図もあったとされ、すべてに反抗する態度を見せることで、自分自身とは何かを悟る禅宗の教えを、自ら実践していたのではないかと言われている。発想の転換に長け、乱世を生きた一休禅師は、本当の世の姿を人々にみせつつ、一生懸命善く生きること、そして形にとらわれず心こそが大切だということを今に伝えている。
 
 
*木心乾漆:彫る技法とは違い、あら彫りをして内ぐりをし、上から漆と木屎漆を塗って盛り上げて細部整形する奈良時代独特の技法。
*お水取り:華厳宗大本山東大寺公式HP参照
お水送りについての番組レビューはこちら
大御堂観音寺 二月堂竹送り(京田辺市観光協会 京田辺道中記)
酬恩庵一休寺公式HP