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テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

宮崎美子のすずらん本屋堂「#126 ひろさちやさん」

2014/08/29 (Fri) 22:00~23:00 BS11
キーワード
本/本当の終活、生前葬、楽しく/人間性、実話/アイドル論
参考
番組公式
 著者をゲストに迎えながら、売れ筋の本や読んでみたくなる本など、毎週、魅力的な本をたくさん紹介していく番組。今回のゲストは宗教評論家のひろさちや氏。紹介するのは『終活なんておやめなさい』(青春出版社刊)。昨今話題を呼んでいる終活に疑問を投げかけ、最後であるがゆえにわく不安を一つ一つ解消し、ユーモアに富んだ仏教に基づく新たな視点をもたらす。また、最新の書店売上ランキングやコメンテイター・岡崎武志のオススメ、番組からのイチ押しの一冊も紹介された。
 前半は、ひろさちや氏が本の内容のテーマでもある終活について説く。家族間での争いごとの可能性や自分を顧みる時間を考えれば、今や終活の必要性を感じる人は多くいる。ひろ氏は、終活したい人はしたらいい。しかし、ノートやメモに残すよりも、実際に食事をしながらでもしゃべってあげればいいのではないかと語る。また、葬式なんかも家族に任せてあげればいいのではないかという。確かに、葬式などできちんと供養しないと浄土に行けないような気もするであろう。しかし、実際自分が死んだときのことをそうぞうしてみてはいかがか?それで子孫を祟ってやろうと思うだろうか?即得往生といって、亡くなったらすぐ浄土に行くという考え方があり、あまり心配する必要もないのだ、と、ひろ氏は語る。
 本当に必要な就活とは、残りわずかな人生だから、家族や友人など大切に想う人とできるだけ語っておいて、一回一回、生前葬のつもりで人としっかり会うこと。お詫びしたいという気持ちもあるであろうが、「おれはこんなに謝ったのにあいつけしからん」とかトラブルの元にもなるので、それはしないようにして、お浄土に行って再び会った際に「すまなかったねえ」とお詫びすればよい。この世では、限られた時間を楽しく過ごして終わりましょう、というのが本当の終活だと、ひろ氏は語る。
 また、人間としての生き方が示された良本として、また現代人に読んでほしい一冊として『人に強くなる極意』佐藤優の本を紹介して、ひろ氏の話は終わった。
 後半では発掘良本のコーナーで、『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』辺見じゅんの本が紹介された。悪名高き強制収容所に屈しなかった男たちのしたたかな知性と人間性を発掘して大宅賞を受賞した感動の実話であり、人を信じられなくなってもこの本を読めば考えが変わると、岡崎武志は語る。
 番組からの今週の一冊として、クリス松村氏の「誰にも書けないアイドル論」を本人自身から紹介。自ら集めてきた二万点を超えるアイドルコレクションを含む膨大な資料と実際に行ったコンサートの体験などをもとにアイドルとその時代背景を徹底的に分析。アイドルの新旧がどう変わってきたのか、その概論が書かれている。昔の人は懐かしく、今の人はそうだったのか、と思える内容で、クリス松村氏の人とは少し違う過去とアイドルに熱狂していった背景も読みどころとなっている。
最後は、宮崎美子による、加島祥造の「求めない」という詩の朗読でしめくくられた。