文字サイズ: 標準

宗教情報PickUp

テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

趣味Do楽 籔内佐斗司流ほとけの履歴書~仏像のなぞを解きほぐす「阿修羅」

2014/04/15 (Tue) 21:00~21:55 NHKEテレ
キーワード
阿修羅、戦い、護法善神、苦労、魅力
参考
番組公式
 奈良や京都に安置され国宝として有名な阿修羅像。今回番組では、彫刻家で東京芸術大学大学院教授の籔内佐斗司が篠原ともえとともに、様々な顔をもつ阿修羅の経歴と背景、実物の像を踏まえながら、知られざる物語を紹介します。
 元・古代イランのゾロアスター教(拝火教)の最高神であった阿修羅。阿修羅は、バラモン教の戦いの神であり後の帝釈天であるインドラとの戦いに明け暮れていた。かつて仏教に反発していた阿修羅であるが、やがてゾロアスター教もバラモン教も釈迦率いる仏教に取り込まれて、二人とも仏の護法善神となりました。京都の蓮華王院・三十三間堂に見られる阿修羅王像は、釈迦を守る神として厳しい顔をしています。
 一方、興福寺・国宝館の阿修羅像では、釈迦の説法に触れ心が鎮まった阿修羅の姿が表現されています。この穏やかな姿は、阿修羅像の作り手である光明皇后が若くして亡くなった我が子の面影を込めたものでもあるのかもしれないと、籔内氏は言います。
 八部衆の一人でもあった阿修羅ですが、八部衆は釈迦が悟りを開く上で重要な役割を担っています。むかし、生・老・病・死に悩んでいた釈迦は、王子の地位を捨てて修行者となり菩提樹のもとで座禅、瞑想していました。そこに八部衆が、悪魔や夜叉として釈迦の心の中にあらわれ瞑想を邪魔しますが、釈迦は彼らを調伏し、六道を解脱するということ、この世の真理を悟ります。釈迦が大悟する物語の影には八部衆の存在があったわけです。
 阿修羅は2500年を超える長い旅路の中でさまざまに姿を変えてきました。ある時は、ゾロアスター教の最高神アフラマズダー、またあるときは仏のために闘争心を露わにして戦う護法善神、そしてまたあるときは、私たちを魅了する憂いのある優しい表情をしていたり。そのすべてが阿修羅そのものであり、平坦な道を歩んできた人よりはいろいろ苦労してきた人の魅力をもっている神様なのです。