- トップ
- 宗教情報PickUp
- テレビ番組ガイド・レビュー
- 137億年の物語「3つの宗教の聖地・エルサレム」
文字サイズ: | 大 | 標準 | 小 |
宗教情報PickUp
テレビ番組ガイド・レビュー
日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。
137億年の物語「3つの宗教の聖地・エルサレム」 |
|
2013/11/02 (Sat) 18:00~18:30 テレビ東京
|
|
今回番組ではイスラエル東部に位置する都市・エルサレムが取り上げられていた。エルサレムは、3つの宗教――ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地が入り組む不思議な都市である。本レビューでは、(1)エルサレムという都市、(2)中東問題、という2つの観点から番組内容を振り返ってゆく。 (1)エルサレムという都市 前述したように、エルサレムの旧市街には3大宗教の聖地――ユダヤ教の「嘆きの壁」、キリスト教の「聖墳墓教会」、イスラム教の「岩のドーム」が入り組んでいる。3つの宗教間では集会や教育の方法が異なるため、各教徒は地区ごとに分かれて暮らしている。また、各聖地もそれぞれの地区にある。 旧市街には城壁と220にも及ぶ歴史的建造物が残っている。これらは「エルサレムの旧市街とその城壁群」として1981年に世界遺産にも登録された。 城壁に囲まれた旧市街であるが、時代を感じさせる石造りの街並みのなかでマシンガンを手にした兵士の姿が目を引く。なぜ兵士がいるのか。それは、エルサレムが「抗争の場」であったからである。現在でも、ユダヤ人とここに住むアラブ人との争いによって火種が消えることはない。エルサレムは「深い信仰心」と「争いの血」がにじんだ都市なのである。 (2)中東問題 今日この問題の焦点となっているのが内戦の続くシリアである。しかし、中東問題を歴史的に振り返るとき、その根底にはエルサレムがある。ユダヤ人とアラブ人は2000年以上に渡り聖地エルサレムを巡る争いを繰り返してきたのである。 イスラエルは中東のパレスチナに位置する国家である。現在のイスラエルはシオニズム運動を経て第二次世界大戦後にユダヤ人によって建国された。そして、イスラエルはエルサレムを同国の首都であると主張している。しかし、エルサレムは3大宗教の聖地が入り組む複雑な都市である。ユダヤの民とアラブの民の聖地を巡る争いは現在も絶えることなく続いている。 さらに番組では、イスラエルとパレスチナを隔てる大きなコンクリートの壁について説明がなされていた。「分離壁」と呼ばれるこの壁はイスラエル政府によって建設された。第4次中東戦争が終わった後、パレスチナに住むアラブ人によるテロが頻発したため、「パレスチナからのテロを防ぐ」目的で建てられたのである。しかし、国際社会からは「テロを理由にパレスチナ自治区を壁で分離しようとしているのではないか」という非難の声もあり、国際的にはこの壁は認められていない。 すっかり泥沼化してしまった中東問題であるが、その泥沼を抜け出そうとする新たな動きもみられる。2013年7月にイスラエルとパレスチナがワシントンで和平に向けて実質交渉に入ることで合意したのである。協議を仲介したケリー国務長官は「困難はあっても達成可能である」と述べた。いま、20年ぶりに動き出したパレスチナ和平に期待が集まっている。 〇参考URL 番組HP「137億年の物語」http://www.tv-tokyo.co.jp/137 |