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日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

知られざる物語 京都1200年の旅 「京に残る聖徳太子」

2012/10/23 (Tue) 22:00~20:54 BS朝日
キーワード
如意輪観世音菩薩像、聖徳太子、京都、仏像、聖徳太子像、聖徳太子信仰
参考
番組公式
 京都の様々な建造物、文化財、国宝などから、京都に眠る物語を紐解き紹介していく番組。今回は聖徳太子に縁のある寺院や、数多く残された太子像などを巡り、聖徳太子が京都に残したものを探る。
 八坂の塔の名で知られる臨済宗建仁寺派・法観寺には「聖徳太子が夢の中で、如意輪観世音菩薩のお告げを聞き、この寺を建立した」という逸話が残っている。境内の太子堂には二歳の時の聖徳太子像が安置されている。二歳児の聖徳太子を象った像は法観寺だけでなく、多くの寺院に残されている。京都の中心街にたたずむ天台宗・頂法寺、通称六角堂の太子像もそのひとつだ。これらの太子像は「聖徳太子が二歳の時、南無仏と祈った。その際、合掌した手から仏舎利がこぼれ落ちた」という言い伝えがもととなり、造られたのだという。この頂法寺も聖徳太子が創建した寺院で、ここには太子像だけではなく、太子が持仏とした如意輪観世音菩薩像(秘仏)が納められている。他にも番組内では、真言宗智山派・大報恩寺に納められた、年に一度しか公開されない太子像や、天台宗・願徳寺に伝わる一遍上人の菩提を弔うために造られた太子像などが紹介されている。
 また、それら太子像の最高傑作だとして、真宗佛光寺派・佛光寺の太子像を取り上げている。その凛々しい顔立ちや柔らかい質感、指先など細部まで緻密に造られている点などが傑作と呼ばれる所以だという。この像の特徴として、袈裟を身にまとい、左手に柄のついた香炉、右手に杓を持っているという点が挙げられる。父である用明天皇の病気平癒を祈る16歳の聖徳太子だという。番組では、「父を思う親孝行な聖徳太子」と紹介している。
 京都には、佛光寺の太子像が示すような「聖徳太子の優しさ」に深く関係する寺院があるという。大原の天台宗・寂光院と東山の真言宗泉涌寺派・泉涌寺の悲田院だ。寂光院は用明天皇が崩御したのち、菩提を弔うために建立された。「静かな大原の地であれば、用明天皇も安らかに眠れるだろう」という太子の思いがこめられているという。また、悲田院は身寄りのない老人や子どものために聖徳太子が建てた施設だ。太子の人々を思う心が、悲田院というかたちで表れているのだという。
 聖徳太子の他を慈しむ姿や、仏教を広く伝えた功績は、後世で聖徳太子への信仰が広まるきっかけとなった。浄土真宗の開祖、親鸞も聖徳太子を篤く信仰していた。浄土真宗の総本山、東本願寺には太子の掛け軸や、太子を称えた和讃が遺されている。また、祇園祭で京都市内を巡行する山鉾の中には、聖徳太子の像を乗せた「太子山」という山鉾がある。太子山保存会会長の川口良正氏は「十七条の憲法の中にある『和を以て貴しとなす』という、人間同士が繋るうえで、最も基本的な言葉がこの町には受け継がれている」と話した。