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日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

美の巨人たち“日本の国宝建築シリーズ”フューレ神父プチジャン神父『大浦天主堂』

2012/08/11 (Sat) 22:16~22:46 テレビ東京
キーワード
大浦天主堂、教会、キリスト教、信徒、遺産
参考
番組公式
 長崎の歴史的建造物である、日本最古の西洋建築、大浦天主堂(国宝)の軌跡を小ドラマやナレーションで追っていく。大浦天主堂、正式名称:日本二十六聖殉教者天主堂は、伝統的なゴシック様式で、現存する日本最古の木造教会である。また2007年にユネスコの世界遺産の暫定リストへの掲載が決まった「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する文化財の一つでもある。
 前半は、キリスト教弾圧から創建に至るまでを振り返る。
 キリスト教弾圧から250年後、幕末長崎に外国人居住地ができたことを契機に、かつて26人の信徒が殉教した聖地長崎に教会が建てられることになる。西洋建築特有の石造りの精緻で堅牢な建物を木造で建てるのは前例がなく困難を極めたが、日本古来の高度な技術を取り入れることで、見事に表現してみせた。優美な曲線を持つ天井には土壁造りの技術を応用し、複雑な文様のステンドグラスなどにも様々な職人の工夫が見て取れる。
 教会創建直後に、キリスト教が禁止された250年もの間、隠れて信仰を続けていた信徒達が名乗りを上げ、世界に大きな衝撃を与えると共に、大浦天主堂が聖地とされるきっかけとなる。この歴史的なキリスト教の復活もあり、日本最古の西洋建築である大浦天主堂は国宝に指定されたのだ、と大浦天主堂館長の諸岡清美さんは語る。
 後半は、天主堂改修について、歴史的背景を基に触れる。
 明治六年のキリスト教解禁によって信者が急激に増え、大幅な改修を経て、現在の形に至る。創建時の設計図から、新しい天主堂は創建時の状態を中心に増築されていることがわかり、当初の部材も再利用することで、創建時の名残を残している。さらに、信徒発見という歴史的出来事の舞台になったマリア祭壇は、教会の原点とも言え、記念碑として遺すために、改修前後でその位置を変えないことが設計上最も重視された。こうした設計上のこだわりによって、天主堂は、そこで起きた歴史的出来事を後世に伝える遺産として高い評価を得ているとまとめる。
 最後に、国宝-大浦天主堂を、西洋と日本が融合した美しき教会、非業を語り継ぐ奇跡のモニュメントであるとして文化的、歴史的観点からのアプローチを締めくくる。