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『ザ・ノンフィクション』「人を救えるのか ~僧侶 一徹の四季~」

2010/11/28(日)13:30~14:25 フジテレビ
キーワード
自殺問題、住職
参考
番組公式
 岐阜県関市にある大禅寺には長い間住職がいなく、傾きかけていた。そこに5年前、再建のために根本一徹氏という一人の僧侶が東京からやってきた。一徹氏は東京のお寺で動物供養を主にしていたが、また一から出直したいと考え、岐阜県にある僧堂で厳しい修行をし、大禅寺に来た。現在では檀家も70件ほどかかえ、地元の人の信頼も得られるようになっている。また、一徹さんは自殺防止の活動にも取り組んでおり、現在も多くの自殺願望者の相談役として毎日動き回っている。

 一般のサラリーマンの家庭で育った一徹氏は、学生時代の友人や伯父の自殺を通し、生きる意味とは何かを考え、僧侶になることを決意した。僧侶になった一徹さんは、自殺願望を持っている人を救いたいという思いから、人と話すことが救うことにつながると信じ、多くの自殺願望のある人の話し相手をしている。しかし、自殺願望のある人を救うのは容易ではない。何度も何度も電話で話を聞いたり、実際に直接会って話しをしたりしているが、何かがあるとまた自殺願望が出てきて、一徹氏に連絡をしてくる人が後を絶たない。一回自殺したいという気持ちになってしまった人の心を回復させるのは難しいのだ。けれど、一徹氏はその全てを受け止め、断ることなく、何度も話し相手として自殺願望のある人の話を聞いている。

 だがそのような日々にあって、毎日相談役として休まず動き回っていた一徹氏は、ついに身体の限界がきて、倒れて救急車で搬送されてしまう。診断の結果は狭心症で、命に別条はなかったが、大事をとって自殺防止の活動も中止にした。命を救う活動が、自らの命を削ってしまっていたのである。しかし、一徹氏は「この体験を通じて、初めて死にたい人の気持ちがわかった」とし、さらに続けて、「いままでの相談者から(今度は逆に自分が)励ましの言葉をもらい、人を救えるのは人だけということをあらためて実感した」と述べる。死にたいという相手の気持ち、そしてなにより自身が厳しいとき励ましに支えられたという経験は、気持ち新たに相談役として自殺防止の活動を進める、一徹氏にとっての転機をもたらした。

 なお、根本一徹氏の活動は、彼自身のブログhttp://daizenji.blog116.fc2.com/にて確認できる。興味の有された方は、ぜひ確認してほしい。