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テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

たけしのニッポンのミカタ!「心の病はスピリチュアルで癒せ!?」

2010/11/05(金)22:00~22:54 テレビ東京
キーワード
スピリチュアル・癒し・宗教・恐山・イタコ・占い・看護学
参考
番組公式
「心の病はスピリチュアルで癒せ!?」をテーマに、青森・恐山のイタコの習俗などを取り上げる。

 青森県立保健大学の藤井博英教授は、精神看護学の研究の傍ら10年にわたって地元・青森のシャーマニズム文化について調べ、今年8月には文部科学省からその研究に助成金が出ることが決定した。藤井教授は、恐山のイタコによる「癒し」効果に注目する。調査によれば、慢性疾患の患者約700人の内200人以上がイタコに行き癒された、と回答したという。
 藤井教授はイタコの「癒しのシステム」は霊能力のようなものによるものではない、むしろ患者の非現実世界によりそうことによる癒しだ、と断定する。降霊という非現実的な行為を司るイタコは、受け入れ難い現実から非現実界に逃避した「退行」状態にある人に対し、現実世界から語りかける医師やカウンセラーとは違った目線から「癒し」をもたらすことができるのだという。イタコは霊を降して語る儀式を通して現在の問題に区切りをつけさせ、供養などの具体的な課題と見通しとを与える。このようなシステムは、都市部で若い女性などの人気を集める占いなどにも当てはまる。当たるか、否かが問題なのではなく、相談者と同じ非現実界に身を置きながら、先行きの見通しを提供することで、現実世界を生きる力を取り戻させる。
 番組では他に、うつ病を予防する「オタク」の生き方、「女子会」、などといったテーマを扱っている。
番組が取り上げているこれらの内容をみると、旧来の宗教から、現代のサブカルチャーまでの広範な対象が、、「癒し」というキーワードに雑多に詰め込まれているという印象を受ける。このことには、停滞の許されない現代社会において絶えず「前向き」に生きていくことを求められるわれわれが、宗教もサブカルチャーも、使えるものはすべて道具として取り入れて消費していく姿を映し出しているのではないだろうか。