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テレビ番組ガイド・レビュー

日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

ゆらり散歩世界の街角 「ジョグジャカルタ~王と民が支える平和の都」

2010/09/01(水)20:00~20:54 BS-TBS
ジャワ語で「平和の都」という意味を指すジョグジャカルタ。ジャワ民族最後の王朝の都として、1756年に創建されました。当時オランダの植民地支配下であったインドネシアにあって、ジョグジャカルタはこれに対し抵抗を続け、ついに1945年には王と民が力を合わせ、独立を懸けて戦いました。なかでもジョグジャカルタのスルタン、ハメンクブオノ9世の自らを盾として平和を勝ち取ろうとした姿勢は、いまでも民衆に語り継がれています。

ジョグジャカルタにおける王と民衆との関係は、民衆の生活を支える王と、王に仕える民衆という相互的関係にあって明確です。男性からなるアブデゥダルムと呼ばれる家臣達は1600名にものぼり、彼らは仕事の合間を縫って王宮に出向き奉仕を行います。また、女性は200年以上も受け継がれてきた宮廷舞踊や、独特の染め方によって作られる伝統工芸品バティックの生産における重要な担い手として位置づけられています。

番組では、この他にもジョグジャカルタの王国文化について様々なものが取り上げられますが、なかでも、ジョグジャカルタのほとんどの家庭に王の写真が飾られているということ、また、王も民に尽くそうと深く祈る姿が、印象的でした。ジョグジャカルタにおける王と民との盤石な関係こそが、伝統を堅持していく姿勢と、人々に生きる事への安らぎを与えていると感じられました。
(蔵人)