• トップ
  • 第十四回「「死海文書」グーグルによってデジタル化」
文字サイズ: 標準

このコーナーは、宗教情報センターに長年住みついている知恵フクロウ一家の
長老・宗ちゃんと、おちゃめな情報収集家・情ちゃん、そして、
日々面白いネタを追い求めて夜の空を徘徊するセンちゃんが、
交代で、宗教に関わるさまざまなエピソードを紹介します。


第十四回「「死海文書」グーグルによってデジタル化」

2011/10/08 第十四回「「死海文書」グーグルによってデジタル化」 

宗ちゃん ご紹介するイスラエル博物館の新しいサイトは、デジタル化された古文書「死海文書」を細部まで閲覧できるものです。



http://dss.collections.imj.org.il/
Israel Antiquities Authority, Partner with Google R&D Center in Israelのプレスリリース(2010/10/19)
http://www.antiquities.org.il/about_eng.asp?Modul_id=14

 イスラエル考古学庁とグーグルとの共同事業で、約800巻ほどあるこの文書のうち、もっとも重要といわれる「イザヤ全書」他の5文書がデジタル化を終えて公開されました。「イザヤ全書」などは2008年からイスラエル博物館のサイトで公開されていました(http://www.imj.org.il/shrine_center/Isaiah_Scrolling/index.html)が、このたびはグーグルの技術力が活かされ、死海文書の内容は通常のグーグルの検索にも引っかかってくるようになっています(英語での検索)。1200ピクセルという超高解像度(普通のデジカメの200倍程度だそうです)で撮影され、羊皮紙のぼろぼろになった質感さえうかがえます。

 2000年以上前のぼろぼろの古文書ですので、ふつうの人は触ることさえできません.また、イスラエル博物館に行っても現物の断片を見るのがせいぜいでしたが、このサイトでは自分のパソコンで細かくじっくりとながめ、また「イザヤ全書」などは英語対訳を読むことができます。ヘブライ語などの文書が表示されている画面をクリックすると、節ごとに英語対訳が出てきます。



 「死海文書」は、聖書の写本群としてもっとも古いもので、1947年に死海沿岸の洞窟で発見されて以後、10年ほどの間に約800巻の発掘が進みました。しかし、一部の写本群が(おそらく担当者の業務が計画通り進まなかったため)大幅に公開が遅れたために、バチカン陰謀説、また謎めいた記述から地球外生命体による記述という説まで現れ、人々は想像力を大きくふくらませました。実のところ、イザヤ書などは、書店で普通に買うことができる日本語の聖書とも多くが重なっています。少し想像力に水を差すことになるかもしれませんが、それも学術の役割というものですよね。
 研究の進展を考えれば、古文書を傷めずに済み、しかもカラーで高精細画像が読めるというのはたいへんなことです。古文書を苦労して見せてもらい、白黒でコピーして、これはシミか文字かと目をこすりながら見る。デジカメの普及によって文書もカラーで収録できるようになり、ほんらいの内容か汚れかの判断をつけにくかった時代は過去のものとなりつつありましたが、こうしたデジタルアーカイブは、それらの研究を「どこでも!」「誰でも!」できるようにするという点で、画期的なものです。こうした技術が開く研究の可能性について、この9月に、大阪大学で、人文情報学Digital Humanitiesについての国際的な会議(http://www.lang.osaka-u.ac.jp/~osdh2011/)が行われました。

 グーグルは、世界中の本(絶版となったものも含まれる)をデジタル化する事業を前から進めており、その成果はGoogle Books(あるいはInternet Archive、あるいはkindle)等で読むことができます。日本でも大学図書館(慶応大学など)が所蔵する貴重書をデジタル公開する事業を行っています(たとえば「デジタルで読む福沢諭吉http://project.lib.keio.ac.jp/dg_kul/fukuzawa_about.html」)し、国会図書館が行っている近代デジタルライブラリー(http://kindai.ndl.go.jp/)なども、明治・大正・昭和期に刊行された図書を自分のパソコンで閲覧できるという画期的なシステムを提供しています。

 「いい時代」になりました。これも「ゼーレのシナリオ」でしょうか。

※以下の記事も参考になさってください。
グーグルブログでの紹介記事「砂漠からウェブへ、死海文書オンラインコレクション」
http://googlejapan.blogspot.com/2011/09/blog-post_27.html
ウェブブラウザ上で「巻ける」死海文書(イスラエル) (国立国会図書館のカレントアウェアネス記事)
http://current.ndl.go.jp/node/8213