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2012/06/11 第二十回「文化庁 宗教統計のサイト」
日本の宗教団体や各宗教の信者数を調べるのに、文化庁の『宗教年鑑』は欠かせません。 毎年、約200頁の冊子が発行されますが、文化庁のサイトでも、バックナンバーの全頁が平成7(1995)年版からPDFファイルで公開されるようになりました。
『宗教年鑑』は、「日本の宗教の概要」「宗教統計」「宗教団体一覧」の3部構成から成っています。このうち、全国にある社寺・教会等の宗教団体、教師、信者数が掲載されている「宗教統計」がもっともよく使われる部分でしょう。この「宗教統計」を抜粋した「宗教統計調査結果」も、文化庁のサイトに掲載されています。
ここには、文化庁文化部宗務課が宗教統計調査を開始した昭和24(1949)年分から平成20(2008)年分までPDFで掲載されており、経年変化を追うことができます。「なぜ昭和24年から?」という疑問には、文部科学省のサイトが答えてくれています。 終戦後の昭和21(1946)年に公布された日本国憲法で政教分離が謳われたものの、宗教資料に関する問い合わせが多かったため、昭和24年から政府が各宗教法人の協力を経て、「文化資料とする」ことを主な目的として、統計報告を毎年12月末現在で取りまとめるようになったそうです。 各統計データは、宗教法人からの報告に基づいているので、「我が国の信者数」(平成20年12月31日現在)が、仏教系約8751万人、神道系約1億843万人、キリスト教系などを含めて総数約2億718万3千人となって、日本の総人口1億2769万2千人(平成20年10月1日現在推計)の2倍近くにもなるという不思議な統計にもなっています。それも、正月は神社に初詣に行き、結婚式は教会で挙げ、葬儀には僧侶を呼ぶというような日本人独特の宗教感覚を示すものかもしれません。 また、公式サイトによると国内に827万世帯の信者がいる創価学会のデータも掲載されていません。他にも「幸福の科学」など掲載されていない教団があります。 残念なのは、各宗教団体の信者数や教師数のデータが、統計処理をしやすいexcel形式では公開されていないこと。それでも、神道系、仏教系、キリスト教系、諸教系といったカテゴリー別に見た宗教団体数、宗教法人数、教師数、信者数のデータは「政府統計の総合窓口」のサイトで、平成17(2005)年度から平成22(2010)年度分まで各年ごとにexcel形式で参照、保存することができます。平成22年度(平成21年12月31日現在)のデータを見ると、諸外国と違って国内信者がなかなか増えず、「1%の壁(信者が総人口の約1%を超えることがない)」という言葉もあるキリスト教系の教団全体では、教師に占める外国人の割合が約1割と高いということがわかります。 また、総務省統計局のサイトでは、毎年発行されている『日本統計年鑑』(総務省統計局刊行、総務省統計研修所編集)のデータが平成22年分から公開されています。この年鑑の「第23章 文化」に宗教関係の統計が掲載されています。先ほどの「政府統計の窓口」に掲載されているのと同じデータを時系列で見ることができます。
最新の平成24年版の第23章の目次の「A宗教団体数、教師数及び信者数」をクリックすると、昭和60(1985)年から平成20(2008)年まで、平成17(2005)年までは5年ごとに、それ以降平成20(2008)年までは単年ごとに記されたexcel表を参照、保存することができます。「B都道府県別宗教団体数」をクリックすると、平成20(2008)年末の都道府県別宗教団体数が、神道系、仏教系などのカテゴリー別にexcelで参照、保存することができます。 その他の宗教統計データもexcelで見られるようになると、いろいろな分析ができるようになるのですが・・・・・・。 ちなみに、主な仏教教団のデータの推移については、『寺門興隆』(興山舎)2012年2月号掲載の「寺院や僧侶や信者が増えている宗派と減っている宗派の相違」というレポートで、詳しく分析されていますので、興味のある方は、ご覧になってはいかがでしょうか。 (藤山みどり) |