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2010/09/09 第三回「同性愛は宗教界でどのように受け止められている?」 

情ちゃん スウェーデンの首都ストックホルムで2010年7月末、約40万人もが参加して性的少数者の祭典が開かれたんですって(『毎日新聞』2010年8月19日付)。性的少数者とは、同性愛者、両性愛者、性同一性障害者のことだけど、最近、同性婚の話題が多いわよね。
ヨーロッパで同性婚を認めている国は、オランダ、ベルギー、スペイン、ノルウェー、スウェーデン、そして今年6月からはポルトガル、アイスランドも加わったの。アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル首相はさっそく6月にパートナーの女性と結婚して、世界初の同性婚をした首相となったわ。このほかカナダ、南アフリカ、アルゼンチンでも同性婚を認めているし、アメリカでは5州と首都ワシントンで認められていて、この8月に連邦地裁がカリフォルニア州で同性婚を禁止するのは違憲という判決を出したばかり。
センちゃん 宗教界は同性愛について、どのように考えているのでしょうか? キリスト教社会では同性愛は受け入れていない印象があるけれど・・・・・・。生殖に関係ないというところが、倫理的にどうなのかと。
生物の世界に目を向けると、単為生殖という、1つの性のみで子供を産み出す仕組みがあります。先日、実験的にマウスで精子を使わずに卵子だけから子供が産まれた話も聞きました。
話を宗教に戻して・・・・・・っと、おそらく仏教は同性愛も寛容的に受け入れるのでしょうね。イスラーム社会だと厳しそうですけど・・・
宗ちゃん 同性愛についての考え方は宗教においてというよりも文化による違いが大きい印象があります。
情ちゃん 宗教が文化を作るという側面もあるわよ。英語でソドミー(sodomy)とは、男色などの意味だけれども、これは旧約聖書で神に滅ぼされたソドムという町の人たちが男性同性愛者だったからということに由来するの。もっともソドムの話の解釈については異論もあるらしいけれど。
いま調べてみたら、カトリックでは人間の尊厳を重んじるので同性愛者の性的指向は受け入れるけれども、同性婚や同性間の性行為はダメなんですって。センちゃんが言っているように、子孫をつくる関係ではないからなのね(*1)。旧約聖書と新約聖書には他にも男性の同性愛を否定する箇所がある(*2)ので、キリスト教徒の中には同性愛を罪深いものとする人もいるわ。
だけど、同じキリスト教でもスウェーデンの福音ルーテル教会(プロテスタント)は同性婚を認めていて、教会で挙式もできるから、いろいろな見解があるようね(*3)。
カトリックから分かれた英国国教会の流れを汲む米国聖公会では、2009年に同性婚を認めている州では司祭が祝福することを認めることになったけれど(*4)、同性愛者を司教にするなどの同性愛に寛容な態度が、保守派を分離独立させただけでなく、世界各国の聖公会共同体から反発を招いて問題になっているわ。宗派の中でも見解が異なるのね。
宗ちゃん 米国ではカミングアウトしている同性愛者が多いから他国に比べて同性愛に寛容な傾向があるし、スウェーデンなど北欧にもリベラルな風土があります。そういう風土が教会の考え方にも影響を与えているのでしょう。
ちなみにイスラームでは同性婚以前に同性愛が禁じられていて、イスラーム諸国では同性愛を犯罪とするところも多いのです。アラブ首長国連邦では最高でむち打ちと懲役5年の刑、イランやナイジェリア北部では死刑になる場合もあります(*5)。
日本では戦国大名の織田信長と森蘭丸の関係に見られるような衆道(しゅどう)の文化がありました。日本は伝統的には同性愛に寛容だったのでしょう。
情ちゃん 日本の伝統仏教界は同性愛に寛容というか、問題視していないようにも見えるけれど。
信者数が多い浄土真宗本願寺派の東海教区青年連盟のサイト(*6)には、「同性婚の仏前結婚式ってできますか?」というQ&Aがあるのね。答えは、仏法では結婚は男女間に限定したものではないけれども、日本のように現行法で同性婚を許可していない地域では、その現行法を否定するのは難しいということだったわ。ただし、教団として式を執り行うのは難しくても、一僧侶という立場ならば自らの覚悟でできるとか。
ちなみにチベット仏教最高指導者のダライ・ラマ14世は、「同性愛そのものは不適切ではないが、性交渉にふさわしくない器官を使っての性交渉は不適切」(*7)という立場なんですって。なんだか難しいわ。
センちゃん 日本の伝統文化というと、神道ではどうなのでしょうか? 日本の仏教は神道と混淆しているから、そこから推測すると、同性愛にも寛容な気がします。
情ちゃん 面白い記事を見つけたわ! 1999年1月20日の『東京新聞』夕刊に、金山神社(川崎市)で1998年末に日本の神社で初めて同性婚の挙式が執り行われたという記事が載っていたの。男性同士の結婚式に、宮司さんは「悩んだけれど、2人が真剣だったので」と語っているけれど、神社本庁は「神道では神話の時代から結婚は男女間に限られている。男性同士の結婚は考えてもみなかった」というコメントを出しているわ。
神道では同性愛についてどうなのかはわからないけれども、同性婚は認めていないのね。
センちゃん いわゆる性的少数者が声を上げるようになってきた現在、宗教界が同性愛や同性婚をどう取り扱うかという議論は、これから増えてきそうですね。
参考:
*1 「同性愛の子どもたちをもつ両親への司牧メッセージ、ならびに司牧者への提案」
      (米国司教協議会、結婚と家庭司教委員会)、『カトリック教会のカテキズム』(日本カトリック司教協議会教理委員会/訳・監修、2008)
*2 『産経新聞』1998年6月3日
*3 『毎日新聞』2010年8月19日
*4 CJC通信2009年7月20日 
*5 『毎日新聞』2010年5月25日、『朝日新聞』2005年12月1日、
    『西日本新聞』2008年3月13日
*6 浄土真宗やっとかめ通信(東海教区仏教青年連盟)2010年8月27日
   http://www2.big.or.jp/~yba/QandA/01_04_23.html
*7 『ニューズウィーク』2010年3月3日