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日本国内で放送された宗教関連番組のレビューです。

落語でブッダ~釈徹宗×笑福亭たまの爆笑仏教講座~(後編)

2012/08/30 (Thu) 23:00~23:25 NHK Eテレ
キーワード
仏教、釈徹宗、維摩経、空、止観、落語
参考
番組公式
 前編に引き続き「維摩経」、中でも空の教えについて注目していく。(維摩経についての解説は前編の番組レビューにて取り上げている)「維摩経」には、病床に臥した維摩居士のもとへ文殊菩薩が見舞いに訪ねる場面がある。文殊菩薩が維摩居士の家に到着すると、部屋には何もなく、維摩居士ただ一人がそこにいたという。
 また、古典落語の「書割盗人(かきわりぬすっと)」には,何もない座敷の壁に家財の絵を描くだけで、家財が揃ったと満足する男が登場する。番組の解説役である釈徹宗氏は「維摩居士の部屋になにもない状態は彼の心、空を表現している。『書割盗人』に登場する男も家財を壁に描いて満足している。彼も維摩居士と同様にものに執われておらず、突き詰めてみれば二つの部屋は似ているものだ」と話す。番組では空について「自分の欲望に執われずに生きると、自分の悩みが減るという考え」としている。
 また欲望にとらわれない方法、つまり空の境地にたどり着く実践法として、止観の教えを紹介する。止観のそれぞれの文字について、止とは心の動きを鎮めること、観は心の動きを客観的に見つめることだと説明する。釈氏は「止は心と体を静かな状態に保つことで、心の暴れを整えることです。瞑想とか座禅、呼吸方法など何かに集中することで他の心や感情のはたらきを抑えるトレーニングをします」、「観とはもともと気づくという意味。自分の心のはたらき、体の状態を常に第三者の状態で観るということです」と解説する。
 番組の最後には、「維摩経」が説く自分を客観視し、執われない精神を養うという仏陀の教え。苦しいとき、悲しいとき、仏教の経典を読んでみると心が軽くなるかもしれないとまとめとして語られている。