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宗教情報センターの研究員の研究活動の成果や副産物の一部を、研究レポートの形で公開します。
不定期に掲載されます。


2026/05/28

CIR・DB ニュースレポート 2026年1月・2月 経典

宗教情報

佐藤直実

宗教情報データベースを用い、キーワード欄に「経典」を入力し、検索期間を2026年1月1日~2026年2月28日とし、「類義語を含む」にチェックを入れて検索した結果、計68件の記事が抽出された。内訳は1月が37件、2月が31件であり、同月ともほぼ同程度であった。〈2026年5月20日現在〉

 

◆ 1月・2月の出来事

「経典」が出てくる記事としては、展覧会・講演会・法要などのイベントを扱った記事が多く、経典の記述に基づいて行われる新年初の天台護摩供を取り上げた記事(中外日報1/28)、大般若経を扇のように広げる転読法会を取り上げた記事(山陽・岡山2/4)、同じく總持寺の転読法要と節分会を取り上げた記事(仏教タイムス2/12)など、季節行事に関する報道が目立った。また、経塚出土の経典などを展示した「伊予の経塚名品展」といった「経塚」を取り上げた記事(中外日報2/25愛媛・松山2/27岩手日報・盛岡1/25など)も抽出された。「経典」そのものを扱った記事としては、女人往生に関わる『法華経』や『涅槃経』の記述を紹介したもの(日経・東京・夕1/14)、上原美術館(静岡県下田市)で展示された『華厳経断簡』を取り上げたもの(伊豆・伊東1/22)などがあった。その他、経典の文言を引用し、政党の主張理解や賛同を呼びかけるもの(サンデー毎日2/15・22合併しんぶん赤旗2/4ほか)、原始仏教経典を学習させた生成AI「ブッダボット」を始めとするAI利用に関する注意喚起(中外日報1/141/30朝日・東京1/13)、進化版の生成AI「ブッダボットプラス」を搭載した人型ロボット「ブッダロイド」の披露会見(中外日報2/27ほか)などの記事も抽出された。

 

◆  記事のピックアップとコメント

✓「900年の時を経て 平泉研究最前線 (67) 第5章・寺院群と取り囲む山々 (12) 点在する経塚群 京より巨大 北の独自性 八重樫忠郎」[岩手日報・盛岡1/25

『岩手日報』では、不定期に平泉の専門家や歴史・考古学者によるコラムを掲載しており、本記事は、八重樫忠郎氏(平泉世界遺産ガイダンスセンター センター長)による連載の中で、岩手県南部の平泉周辺に点在する経塚群の特徴と歴史的意義についての解説である。「経塚」は、末法思想が広がった平安時代中期に、藤原道長が造営したのが始まりとされ、正しい教えを未来に伝えるために経典を地中に納めた塚である。全国に広がった「経塚」のうち、平泉以北のものは、京都以南(近畿地方)と比べて巨大であり、地面に穴を掘って埋めるのではなく、小山状の塚を先に築き、その頂部に経典を納めるという独自の構造を持つ。また、平泉の経塚は交通の要所に造営されることが多く、その理由を「経典の霊力によって交通路を鎮護しているのであろう」と八重樫氏は述べる。本記事では、経塚研究を通して、地域毎の文化的特性や信仰の伝播過程が明らかになる可能性を示している。

☞経塚は、56億7千万年後に出現するとされる救済者・弥勒菩薩のために「経典」を納めておく、いわば宗教的な「タイムカプセル」である。本記事は、経塚に納められた経筒・仏像・鏡といった遺物ではなく、「経塚」そのものに着目している点が注目される。その形状や立地の分析は、日本における仏教文化の伝播や地域差を明らかにする上で、今後さらに重要な研究視点となるであろう。

 

◆ +α 用語ミニ解説

経塚:経典を納めた経筒や小塔、あるいは、経文を刻んだ瓦や石などを地中に埋納した塚を指す。経典を後世に伝える目的に加え、経塚を護ることで、自らの願いの成就や祖先をはじめとする諸霊の供養を祈る信仰行為でもある。多くは墓所や名山などに築かれ、五輪塔などの供養塔を伴うことも多い。