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宗教情報センターの研究員の研究活動の成果や副産物の一部を、研究レポートの形で公開します。
不定期に掲載されます。


2026/05/12

CIR・DB ニュースレポート 2026年1月 イスラム

宗教情報

荒木亮

宗教情報データベースを用いて、検索したいワードの欄に「イスラム ムスリム」と入力、期間を2026年1月1日~2026年1月31日と設定し、「類義語を含む」にチェックを入れて検索したところ331件の記事が抽出された。さらに絞り込み条件として地域のカテゴリの「日本」にチェックを入れたところ105件の記事が該当した。前月と比較すると2025年12月では344件、絞り込み条件に「日本」を加えた結果は86件であったことから、国内に関する記事が約20件強ほど増加した。〈2026年4月20日現在〉
 

◆2026年1月の国外の出来事


14日に米国のトランプ政権がガザの和平計画を「第2段階」へ移行するという発表を行ったこと関する報道(読売・東京 1/16ほか)を中心に、昨年10月に停戦が成立したガザ紛争のその後を伝える記事が多くみられた。また、今月はイランで昨年12月に始まった物価高騰や通貨暴落に抗議するデモ活動が拡大したことに関する報道(毎日・東京 1/9ほか)、こうしたイランの情勢不安に対して米国が介入する旨をトランプ大統領が9日に発言したことに関連する記事(日経・東京[夕] 1/10ほか)も多かった。その他、米国NY市にてイスラム教徒初の市長に就任したゾーラン・マムダニ氏の就任式が1日に行われ、式典で初めてコーランに手をおいて宣誓の言葉が述べられた出来事を報じた記事(朝日・東京 1/3)、また、10日に米軍がシリアの「イスラム国」を標的とした大規模な空爆を行ったこと(読売・東京 1/12)、オランダのハーグにある国際司法裁判所にて12日、イスラム系少数民族ロヒンギャに対するミャンマーの対応がジェノサイドに当たるかどうかに関する口頭弁論が始まったことを報じる記事(赤旗 1/14)、米政府国務省と財務省が13日、ムスリム同胞団のレバノン・ヨルダン・エジプト支部をテロ組織として指定したと発表したことを伝える記事(中外 1/16)などがあった。
 

◆2026年1月の国内の出来事


日本人ムスリムによって2020年に開設された山梨県富士河口湖町船津のモスクを紹介する記事(山梨日日・甲府 1/1)や羽田空港の礼拝室を事例に挙げながら日本社会における礼拝室の整備状況を論じた記事(東京・東京[夕] 1/20)、藤沢市宮原にモスクを建設する計画に反対する街宣活動を報じる記事(神奈川・横浜 1/5)など、日本社会でもますます需要が高まるモスクや礼拝所を取り上げる記事が見られた。また、社会の注目が集まる、国内のイスラム教徒を主な利用者と想定して整備が進められる土葬墓地の問題について、日本社会の現状と課題をまとめた記事(中外 1/1)もあった。他方、イスラム教徒と日本社会との交流や関わり合いの現場を紹介する記事として、京都府京丹波町の高齢者施設にて働くインドネシア人介護労働者を取り上げた記事(京都・京都 1/3)、インドネシア人の住民が増えている徳島県吉野川市の教育や保育の現場で礼拝の場を設けたり、ハラル食の給食を提供されるなど多文化共生社会の実現に向けた取り組みが進められていることを取り上げた記事(徳島・徳島 1/8)、また特定技能のインドネシア人労働者を受入れる沖縄県のサトウキビ製糖工場がイスラム教徒向けの礼拝所を設ける等の取り組みを行っていることを紹介する記事(琉球・那覇 1/8)が見られた。また豚肉ではなく牛肉を揚げた牛カツを販売することで海外にてムスリム向けの日本食を展開する企業の取り組みを紹介する記事(日経・東京 1/23)があった。
 

◆記事のピックアップとコメント


✓ 「共生リアル 新たな隣人たち《1》~《8》」
 [大分合同・大分 2026年1月13日《1》14日《2》15日《3》17日《4》18日《5》19日《6》20日《7》21日《8》
イスラム教徒の埋葬場所の確保を目的として別府ムスリム協会が「別府ムスリム霊園」の整備計画を2018年より同地で進めてきたものの、2024年の町長選挙にて反対派の町長が当選し、計画にストップがかけられた。大分合同新聞にて全8回にわたり掲載された本記事では、同霊園の整備計画に関する経緯と現状、および整備を望むムスリムと阻止する地元民双方の意見、また京都府南山城にある土葬墓地のケースなどを紹介することで、日本社会に土葬墓地を設けることについての多様な観点からの検討がなされている。
☞ 大分県日出町を舞台とした土葬墓地の整備計画をめぐる議論が、近年、日本社会の注目を集めており、似たようなケースとしては、昨年9月、宮城県が市町村長からの理解が得られなかったことなどを理由にイスラム教徒を主な利用者と想定した土葬墓地整備の検討を撤回したことも記憶に新しい。土葬墓地に対する反対意見には、講習衛生上の問題だけでなく、土葬という今では馴染みの薄い慣習に対する嫌悪感もあるように思えるが、ますます増加する外国人やかれらの文化的な需要を検討することも必要だろう。
なお、日本社会における外国人の増加という点について「産経新聞・東京」に掲載された「日本を守れるか 全国市区町村長アンケート 外国人「地域に影響」70% 存在不可欠50% (1/2・2/2)、(1)~(5)」[産経新聞・東京 2026年1月1日(1/22/2)、4日(1)6日(2)7日(3)8日(4)9日(5)]という記事も興味深かった。併せて確認されたい。
 

◆+α 用語ミニ解説


ムスリムの土葬:日本社会では、死後、遺体を火葬することが一般的ですが、イスラム教徒(ムスリム)は土葬することが良いとされます。というのも、イスラム教徒のあいだでは、人間は死した後、「最後の審判」の日に埋葬時の肉体の状態で生き返ると信じられており、したがって火葬は遺体の損壊と見なされ、故人に対する苦痛や侮辱にあたると考えられているのです。なお、埋葬時の肉体の状態が少しでも良くなるよう、遺体は、原則死後24時間以内に、できるだけ早く土葬されることが理想とされます。