研究員レポート
2026/05/12
CIR・DB ニュースレポート 2026年1月 新宗教 |
宗教情報 |
道蔦汐里
宗教情報データベースにて、期間を2026年1月1日~2026年1月31日と設定し、「類義語を含む」「日本の新宗教」にチェックを入れて検索したところ520件の記事が抽出された。前月の2025年12月は306件であったことから、記事数は約1.7倍となった。〈2026年4月19日現在〉
世界平和統一家庭連合(通称・統一教会)に関するニュースが多く、520件の記事のうち「統一教会」という言葉を含む記事は231件にのぼった。中でも、安倍晋三元首相銃撃事件で起訴されていた山上徹也被告に対し、奈良地裁が21日に無期懲役の判決を言い渡したことに関する記事(産経・東京1/22ほか)が最も多く見られた。他には、2025年12月末に韓国メディアを中心に報じられた内部文書「TM(トゥルーマザー)特別報告」に関する教団の反応についての記事(東京・東京1/17ほか)、ジャーナリストの鈴木エイト氏と教団との裁判で、鈴木氏が勝訴したことを報じる記事(しんぶん赤旗1/29)などがあった。
また、統一教会と政治家との関係についての記事も見られた。具体的には、2022年7月の参院選奈良選挙区に立候補していた自民党の佐藤啓官房副長官の妻が、安倍晋三元首相銃撃事件当日に教団の集会に参加していたと報じた記事(毎日・東京1/24)や、中道改革連合共同代表の野田佳彦氏と教団との関係について報じた記事(朝日・東京1/27ほか)、高市早苗首相の政治資金パーティー券を教団が購入していた疑惑に関する記事(毎日・東京1/30ほか)などが見られた。
その他には、創価学会を支持母体とする公明党と立憲民主党が15日に連立し「中道改革連合」を結成したことに関する記事(日経・東京1/16ほか)、公安調査庁が29日、オウム真理教の後継団体・アレフについて、団体規制法に基づく再発防止処分を公安審査委員会に請求したことを伝える記事(読売・東京1/30)などがあった。
✓「安倍氏銃撃 無期判決 奈良地裁 「卑劣で極めて悪質」」
[産経・東京1/22(朝日・東京1/22、東京・東京1/22ほか)]
2022年7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告の判決公判が1月21日に奈良地裁で開かれ、求刑通りの無期懲役が言い渡された。判決では、統一教会に翻弄された被告の生い立ちが「犯行の背景や遠因となったことは否定できない」としつつも、多数の聴衆がいる現場で、2度も銃を発射したという悪質性および危険性の比類なき高さ、被告が40代で十分な社会規範意識を有し、他人の生命を奪うことの反社会性を十分理解していたことなどを指摘。「不遇な生い立ちは犯行に大きく影響しておらず、酌むべき余地も大きくない」と結論付けた。なお安倍氏と教団との関係については、判決では客観的な事実関係には踏み込まず、「殺害を正当化できるような落ち度は何ら見当たらない」とされた。
☞ 2022年7月8日の事件発生から3年を経て2025年10月に裁判が開始され、計15回の審理が行われた。裁判では、被告の生い立ちや家庭環境が量刑にどの程度影響するのかが重要な争点の一つとなった。そのため弁護側は被告の母親や妹のほか、全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士や宗教社会学者などの証人尋問を通じて、宗教的背景が被告の行動に与えた影響を強調し、情状酌量を求めた。しかし判決では、こうした事情が犯行の背景にあることは認めつつも、それらが重大な犯罪の刑事責任を大きく軽減する事情には当たらないと判断した。
なお、本レポートの対象期間の範囲外になるが、2月4日には弁護人が判決を不服として大阪高裁に控訴している。統一教会と被告の生い立ちや家庭環境との関係が、裁判においてどのように議論されていくかが、引き続き注目される。
統一教会:世界平和統一家庭連合の通称。同教団は1954年に韓国で文鮮明(ムンソンミョン)によって創始され、日本では1964年に「世界基督教統一神霊協会」の名称で宗教法人となった。2015年に現在の名称へ変更されている。なお、2026年3月4日には東京高裁により解散命令が言い渡され、現在は清算手続きが進められている。
なお、報道ではしばしば「旧統一教会」という表記が用いられるが、この表記は現在の正式名称および旧名称のいずれにも直接対応するものではなく、複数の名称や通称が混在した表現である。「統一教会」は通称であり、教団の正式名称として用いられたものではないため、「旧・統一教会」という形で過去の名称として位置づけることには用語上の不整合がある。こうした点から、「旧統一教会」は必ずしも厳密な用語とはいえないが、広く社会に浸透した呼称であるため、報道においては分かりやすさの観点から使用されていると考えられる。本レポートでは、名称の混在を避けつつ歴史的連続性を示すため、「統一教会」を用いる。
◆ 2026年1月の出来事
世界平和統一家庭連合(通称・統一教会)に関するニュースが多く、520件の記事のうち「統一教会」という言葉を含む記事は231件にのぼった。中でも、安倍晋三元首相銃撃事件で起訴されていた山上徹也被告に対し、奈良地裁が21日に無期懲役の判決を言い渡したことに関する記事(産経・東京1/22ほか)が最も多く見られた。他には、2025年12月末に韓国メディアを中心に報じられた内部文書「TM(トゥルーマザー)特別報告」に関する教団の反応についての記事(東京・東京1/17ほか)、ジャーナリストの鈴木エイト氏と教団との裁判で、鈴木氏が勝訴したことを報じる記事(しんぶん赤旗1/29)などがあった。
また、統一教会と政治家との関係についての記事も見られた。具体的には、2022年7月の参院選奈良選挙区に立候補していた自民党の佐藤啓官房副長官の妻が、安倍晋三元首相銃撃事件当日に教団の集会に参加していたと報じた記事(毎日・東京1/24)や、中道改革連合共同代表の野田佳彦氏と教団との関係について報じた記事(朝日・東京1/27ほか)、高市早苗首相の政治資金パーティー券を教団が購入していた疑惑に関する記事(毎日・東京1/30ほか)などが見られた。
その他には、創価学会を支持母体とする公明党と立憲民主党が15日に連立し「中道改革連合」を結成したことに関する記事(日経・東京1/16ほか)、公安調査庁が29日、オウム真理教の後継団体・アレフについて、団体規制法に基づく再発防止処分を公安審査委員会に請求したことを伝える記事(読売・東京1/30)などがあった。
◆ 記事のピックアップとコメント
✓「安倍氏銃撃 無期判決 奈良地裁 「卑劣で極めて悪質」」
[産経・東京1/22(朝日・東京1/22、東京・東京1/22ほか)]
2022年7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告の判決公判が1月21日に奈良地裁で開かれ、求刑通りの無期懲役が言い渡された。判決では、統一教会に翻弄された被告の生い立ちが「犯行の背景や遠因となったことは否定できない」としつつも、多数の聴衆がいる現場で、2度も銃を発射したという悪質性および危険性の比類なき高さ、被告が40代で十分な社会規範意識を有し、他人の生命を奪うことの反社会性を十分理解していたことなどを指摘。「不遇な生い立ちは犯行に大きく影響しておらず、酌むべき余地も大きくない」と結論付けた。なお安倍氏と教団との関係については、判決では客観的な事実関係には踏み込まず、「殺害を正当化できるような落ち度は何ら見当たらない」とされた。
☞ 2022年7月8日の事件発生から3年を経て2025年10月に裁判が開始され、計15回の審理が行われた。裁判では、被告の生い立ちや家庭環境が量刑にどの程度影響するのかが重要な争点の一つとなった。そのため弁護側は被告の母親や妹のほか、全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士や宗教社会学者などの証人尋問を通じて、宗教的背景が被告の行動に与えた影響を強調し、情状酌量を求めた。しかし判決では、こうした事情が犯行の背景にあることは認めつつも、それらが重大な犯罪の刑事責任を大きく軽減する事情には当たらないと判断した。
なお、本レポートの対象期間の範囲外になるが、2月4日には弁護人が判決を不服として大阪高裁に控訴している。統一教会と被告の生い立ちや家庭環境との関係が、裁判においてどのように議論されていくかが、引き続き注目される。
◆ +α 用語ミニ解説
統一教会:世界平和統一家庭連合の通称。同教団は1954年に韓国で文鮮明(ムンソンミョン)によって創始され、日本では1964年に「世界基督教統一神霊協会」の名称で宗教法人となった。2015年に現在の名称へ変更されている。なお、2026年3月4日には東京高裁により解散命令が言い渡され、現在は清算手続きが進められている。
なお、報道ではしばしば「旧統一教会」という表記が用いられるが、この表記は現在の正式名称および旧名称のいずれにも直接対応するものではなく、複数の名称や通称が混在した表現である。「統一教会」は通称であり、教団の正式名称として用いられたものではないため、「旧・統一教会」という形で過去の名称として位置づけることには用語上の不整合がある。こうした点から、「旧統一教会」は必ずしも厳密な用語とはいえないが、広く社会に浸透した呼称であるため、報道においては分かりやすさの観点から使用されていると考えられる。本レポートでは、名称の混在を避けつつ歴史的連続性を示すため、「統一教会」を用いる。
