全日本宗教平和会議 「懺悔の表明」1947年5月5日

 全日本宗教平和会議の開催に際し、われら宗教人はここに衷心から痛恨と懺悔の意を表明する。

 いずれの宗教も平和を本領とせざるものなきに拘らず、われらは昭和六年九月満州事変以来の軍国主義的風潮を阻止することができず、悲惨なる今次戦争の渦中に巻きこまれたことは、神佛に対し、祖国に対し、かつは世界の全人類に対し、慚愧に堪えないところである。今にして静かに思えば、われわれはかかる凄惨なる戦争の勃発する以前に、身命を賭しても、平和護持の運動を起し、宗教の本領発揮に努むべきであった。この点、われわれは深くわれらの無為にして殉教精神に欠けたるを恥ずるものである。今こそわれらは蹶然起ちてわれら宗教人の本務の完遂に邁進しなければならない。

 新憲法は世界に向つて戦争放棄を誓約したが、この人類史上類いなき崇高なる理想の実現は、人間精神の改造による宗教的基礎に立ちてのみ可能なのである。われらは、ただに既往の過失を天下に陳謝し、頭を垂れて彼我戦争犠牲者に詫ぶるのみならず、茲に全日本宗教平和会議の開催を契機として、力強く平和国家の建設に挺身せんことを宣誓する。

※全日本宗教平和会議は、日本宗教連盟(前身は大日本戦時宗教報国会)、仏教連合会、日本キリスト教連合会、神社本庁、宗教文化協会が共催。

※出典:森下徹「戦後宗教者平和運動の出発」『立命館大学人文科学研究所紀要(82号)』